2010年10月 8日

明日「ハーンの神在月」に出演します


ブログのシステムの不調で、こちらへの情報掲載が直前になってしまいました。申し訳ありません。 今日から松江市で「ハーンの神在月:全国・小泉八雲の会&ミュージアムの未来を考えるサミット」が開催されています。 私はチラシ、ポスター、会場で配付するパンフレットのデザインもしていますが、明日10月10日(日)は11:00からのパネルディスカッション「小泉八雲ネットワークの構築に向けて」に、八雲会理事として登壇します。 3ケタもの人数を前にして話をするのは、高校の生徒会以来です(汗)。そこは本業を生かしてiPadでスライド見せつつ、「小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその事蹟を未来に生かす」というサミットのテーマに対して、八雲会の出版活動やサイト運営を通して考えていることをお話しします。お近くの方はどうぞ足をお運びください。

2009年9月24日

『新・小泉八雲暗唱読本』

recitationbookofhearn.jpg

27日(日)に松江市総合文化センターで、小中高生が小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品を英語で暗誦発表する「第43回ヘルンをたたえる青少年スピーチコンテスト」が開催されます。

このコンテストのテキストとして、八雲会が今年3月に刊行したのが『新・小泉八雲暗唱読本』です。八雲の作品を暗誦用に編輯した25篇を収めており、1980年代にワープロ入力の版下をもとに作られた『小泉八雲暗唱読本』全2集の全面改訂版です。

旧版と比べて次のような特色があります。

  • 収録作品を精選して2分冊を1冊にまとめる。
  • 日本語の対訳と脚註を加える。
  • モチロン組版も一新。
  • スピーチの練習方法のアドヴァイスもあり。
  • 実は「装幀:石川陽春」(←ココ大事)。

八雲会の出版物で、私が初めて関係したのがこの1冊です。もっとも、私はこのプロジェクトには途中から参加しまして、私がかかわり始めたときには、本文の行数と1行あたりの字数や頁数はすでに決まっていました。そのため、行数や頁数に影響が出るような変更はできませんでした。

だからと言って本文組みについて私のやることは残されていなかったかというと、そんなことはありません。脚註の英単語をbold(太字)にしたり、所定の頁数からあふれそうになっていた巻末の解説をを1段組から2段組に改めたり、ノンブル(頁番号)の横に柱(収録作品のタイトル。英文頁には原題、和文頁には和訳した題名)を添えて検索性を高める......といった指定やアドヴァイスを私から加えました。こういうこともデザイナーの仕事のうちです。

表紙については、小泉清(八雲の三男)の《ヘルン像》(小泉八雲記念館蔵)の使用、そして2色印刷といった編輯担当者からの指定はいくつかありましたが、ほとんど私の好きなようにやらせてもらいました。

英日対訳版であるということから、収録作品の一節を英日対訳で掲載しました。ただし、対訳版といえども本文があくまで英文を読ませるものという立場から、表紙の書名は英語を主とし、日本語を従とする組み方をとりました。用紙は、主要な読者層が小中校生という若い人たちであることも考慮して、従来八雲会の出版物の定番であったレザックという革のような風合いの紙から、パミスOKミューズバナナという少しラフな手触りの紙に改めました。横方向に小さく波を打ったようなひっかかかりがあります。

今は事情が変わっているかも知れませんが、私の経験の範囲では、学校で編輯された冊子の表紙といえば、たいていコート紙かレザックだったので、レザックには手垢のついたような印象が強かったのです。数多くの本に出会っているであろう児童・生徒のみなさんに、触感で記憶してもらえる1冊。そんなことを目指しました。

本書は八雲会事務局のほか、私が目撃した限りでは松江の小泉八雲記念館今井書店殿町店、同グループセンター店等でも頒布しています(頒価1,100円)。見かけたら手にとってみて下さい。

2009年9月13日

熊本へ持って出かけた本

熊本から帰って、すでにひと月たってしまいましたので、いい加減、熊本ばなしを始めます(汗)。日によってはその日の話題を書いたり、昨日から始めた「よくある質問」を思いつくこともありますので(笑)、不定期連載ということで。

といっても今日はまだ出立前(ヲイ)。旅行のカバンに入れた本を2冊紹介します。

selectionofhearnsstory.JPG

出立準備中に、西川盛雄+アラン・ローゼン共編『対訳 小泉八雲作品抄』(恒文社、初版1998)が、最近オンデマンド版として復刊されたと知って、早速買いました。といいますのも、この本に収録されている小泉八雲の作品は熊本にゆかりあるものが多く、今回の旅にふさわしい1冊だと思ったからです。

収録作品は、次の通りです。

  • 【松江にゆかりのある作品】
    • FROM THE DIARY OF A TEACHER(英語教師の日記から)
  • 【熊本にゆかりのある作品】
    • THE DREAM OF A SUMMER DAY(夏の日の夢)
    • WITH KYUSHU STUDENTS(九州の学生とともに)
    • THE STONE BUDDHA(石仏)
    • JIUJUTSU(柔術)
    • A WISH FULFILLED(願望成就)
    • AT A RAILWAY STATION(停車場で)
    • ON A BRIDGE(橋の上)
  • 【怪談・奇談】
    • THE STORY OF MIMI-NASHI-HOICHI(耳なし芳一のはなし)
    • OSHIDORI(おしどり)
    • MUJINA(むじな)
    • YUKI-ONNA(雪おんな)

(【 】内は引用者註)

編者の「はじめに」によると、この本は「もともと、1991年9月に行なわれた『ジェーンズとハーン記念祭』(熊本洋学校教師L・ジェーンズの来熊120周年と、旧制五高教師としてのハーン来熊100周年を記念したもの)にあたり、同記念祭実行委員会により作成された『朗読のための・対訳ハーン作品抄』をもとにして」再構成されたものとのこと。熊本の作品を中心に編まれているのもうなづけます。共編者もそろって熊本大学の先生です(そのおひとりの西川先生には、今回の旅で大変お世話になりました)。

今回の熊本の旅では、本書に登場する作品の舞台をいくつも訪ねることになりました。

松江ゆかりの作品として唯一、島根県尋常中学校での教師生活に取材した「FROM THE DIARY OF A TEACHER(英語教師の日記から)」が収められていますが、これは松江の次に赴任した熊本の第五高等学校での体験をもとに書かれた「WITH KYUSHU STUDENTS(九州の学生とともに)」と対比して取り上げられている面もあると思います。その点を含めて、熊本時代に焦点を当てた作品抄と言えるでしょう。

訳文は恒文社版や岩波文庫版でおなじみの平井呈一によるもの。小泉凡さんの筆になる熊本のスケッチが挿絵として織り込まれています。本文の組版の美しさも加わって、今日全国の書店の店頭で入手可能な八雲の日本語訳(本書は英語原文との対訳であり、かつ抄録ですが)の中で、最も読みやすい部類に属する1冊だと思います。

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もう1冊は、旅行者らしく『タビリエ 阿蘇・天草・熊本』。地図が読みやすくて、あまり大判でないガイドブックを探した結果、『タビリエ』を選びました。和風の柄の表紙がかわいい『ことりっぷ』に熊本を取り上げた巻があれば、選択に迷ったところでした。

類書を比較しながら気づいたのですが、観光ガイドマップの世界では、あの地方の観光地の中心は阿蘇や天草のようで、熊本はいささか扱いが小さいのです。でも、肥後54万石の城下町ですから、こういう本でもっと大きく取り上げられてもよさそうな気がします。

2009年9月 5日

熊本市現代美術館「花・風景」展のカタログ第2集

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先月の熊本訪問の最終日に見に行った熊本市現代美術館の「花・風景 モネと現代日本のアーティストたち:大巻伸嗣、蜷川実花、名知聡子」展で、予約を受け付けていたカタログ第2集が今日届きました。写真右から展覧会カタログ第2集、第1集、チラシです。

この展覧会のために新たに制作された作品(そもそも展覧会場でも制作されてますし)が多い企画展であるため、先月美術館で買ったカタログ第1集の掲載された現代のアーティストの作品図版は、ほとんどが過去の実績のものだったのに対し、今回のカタログ第2集は、その新作を取り上げるとともに、展示風景の写真集にもなっています。

こういう1冊が作られるあたりが現代美術館らしいところ。こっちの地方じゃほとんどお目にかかれない性質の本です。数少ない例外が、私がかかわらせてもらった一連のアート・プロジェクトの報告集(藤忠ビルプロジェクト島の写真屋アートプロジェクト)ではないかと思っていますが、いずれも関係者を通じて配られるものばかりで、市販されて広く出回ったわけではありません。

話が脱線しましたが、展覧会については、後日熊本報告の中でも取り上げます。

2009年9月 3日

『アートイニシアティブ:リレーする構造』

今、23:00過ぎなんですが、つい30分前に各種いただきものをしました(ちょい眠)。そのうちのひとつが↓

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『アートイニシアティブ:リレーする構造』。横浜で歴史的建造物を活用したアート・プログラムに取り組むBankART1929が編輯した、主に美術館やギャラリー以外の空間(書中では「オルタナティブスペース」と呼ばれています)でのアート・プロジェクトの事例集です。先ごろまでBankARTで配布していたそうです。

高嶋敏展さん(どこでもミュージアム研究所代表、写真家、アート・プランナー)が「松江 街の中での新しい動き」と題して、「藤忠ビルプロジェクト」(2001)、「Time Piece:島の写真屋アートプロジェクト」(2006)、「奥谷タイムトンネル」(2009)を紹介しています。私にとっては、いずれもサイト制作や報告書のデザインなど、何らかの形でお手伝いさせてもらったプロジェクトです。

また、そういう縁とは別に、建築史で修士論文を書いてみた者として、美術館やギャラリー以外の空間とアートの関係には、詳しくはないまでも一定の関心を持ち続けているものですから、こうした何十もの事例をまとめたコンパクトな1冊(A5判、221pp.)があるのはありがたい。読むのが楽しみです。

2008年1月 2日

エットレ・ソットサスさん死去

2000年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催された「建築からグラフィックまで エットレ・ソットサスと仲間たちの軌跡 1980/1999」に行きました.木,石,ガラス,プラスティック……あらゆる素材が,ときにはひとつの色に包まれ,ときには素材そのままの色で,面として切り取られる.それらをさまざまに組み合わせることで生まれた建築空間やプロダクト.大胆にして鮮烈でした.試しに,Googleで「Ettore Sottsass」を画像検索してみるだけでも,素材と色とかたちのマジックの一端がわかると思います.

巨匠エットレ・ソットサス (20世紀の巨匠たち)
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2007年12月10日

『からすのパンやさん』

昨日のNHK『つながるテレビ@ヒューマン』で,

今週の「ハヤミミ」は、絵本に出てくるおかし。絵本の中のあのお菓子が実際に食べられるという、夢のような話題です。

絵本大好き!(By島津有理子)」(つながるブログ@ヒューマン)

なんてのをやってて,『ぐりとぐら』とか『からすのパンやさん』に出てくるパンやお菓子の実写版(笑)が出てきたワケなのよ.

番組の中でも紹介されてた『からすのパンやさん』で何十種類ものパンがズラリと並ぶの見開き2頁.うわ〜,こりゃまたなつかしいノダ.じどうしゃパン,テレビパン,うさぎパン,パンダパン,とんかちパン,のみパン……そんなゆかいなパンばかりでさ,ワテもほんまもんのぼーや時分にゃ,見ててわくわくしたノダ.

そこで考えたノダ.タヌぼーもパンを作るなら.あたしゃやっぱり「タヌキぼーやパン」ナノダ(笑).まずこれでしょ,やっぱ.カワイイことまちがいなし(自薦).そうそう,もいっちょ「殿町オトノマチ」から「オトノサマパン」もイケるカモ.パン焼く設備ある人,どなたか作ってみてちょ〜.

からすのパンやさん
からすのパンやさん
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2007年12月 9日

「石見銀山展」図録入手

あわててたワケですが↓

図録の写真

そーなのよ,発見しましたんですわ.おととい大根島に行く前に立ち寄った殿町の今井書店で.バンザ〜イ.

必要かつ我が身の面目のため(ヲイ)迷わず買いました,ハイ.

そのときにゃ,あと1冊店頭にありましたんで,あわせてお知らせしますです(誰に?).

2007年12月 3日

「輝きふたたび 石見銀山展」の図録を買うの忘れてた

9月に終了したこの展覧会の図録,不覚にも買い忘れて,気がつけば古代出雲歴史博物館のミュージアム・ショップでは完売,出雲市内の書店の店頭からも消えてました(グスン).

どっかの書店で見つけたという目撃情報ありましたら,↓まで教えてやって下さい(ペコリ).

2007年10月27日

島根大学図書館蔵書リユース市の収穫

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昨日の話なんですがね,予告通り「第3回島根大学図書館蔵書リユース市」に行ってきたですだ.大学の近くで仕事があったんで,その前にちょこっと.

仕事で一緒になるO洲の若旦那(ワタクシが命名したわけじゃないよ)が先に着いてて,個人的にオイシイ本の大半まで先を越されました(グスン).杉浦康平+鈴木一誌のブック・デザインによる『セリーヌ全集』(国書刊行会,1978-)に,JTB発行時代末期の『旅』(2003ごろ)のバックナンバーに,小学館の『日本語大辞典』に…….赤の他人ならいざ知らず,思わぬトコに伏兵はいるもんで.

結局,ワタクシの収穫は2冊.まず,400pp.フルカラーの文字組で見せる年表,松岡正剛監修『情報の歴史』(NTT出版,1990).ブック・デザインは杉浦の系譜に連なる戸田ツトム.ザンネンながらカヴァーを欠いてますが.

もう1冊は,小田橋弘之編著『君が代は微風(そよかぜ)にのって』(晩聲舎,1983)こちらのブック・デザインは杉浦康平+鈴木一誌.雑誌『噂の眞相』で杉浦が手がけた黄色表紙を連想させる色遣い.見返し,扉も黄色の紙,そこに赤のインクで刷ってあります.

カウンターじゃ,たくさん本を買って自分で持ち帰れない人のために,着払いでの郵送の対応もしてましたニャ.なかなか備えよろしおす.

それにしてもいろんな人に会うもんで,O洲の若旦那が誘った佐陀神社の近くの木工職人に,現在大学院生の不昧流茶人が初対面で意気投合して,大山山麓野点計画が動き出すわ,大学非常勤講師の姐御(誰?)にゃ,いきなり「ありがとう」って言われて,ナニゴトかと思うたら,タヌキにゅーすでリユース市を知ったとの仰せこれあり(実は意外と読まれてる? タヌキにゅーす).

2007年10月22日

図書館蔵書のリサイクル

読書の秋ってワケでも……ないこたぁないのでしょう,島根大学附属図書館本館の「第3回島根大学図書館蔵書リユース市」と,出雲市立出雲中央図書館の「本のリサイクル市」の情報が入ってきました.

第3回島根大学図書館蔵書リユース市

日時
2007年10月26日(金)10:00-17:00
2007年10月27日(土)10:00-17:00
2007年10月28日(日)10:00-13:00
場所
島根大学大学会館 3階 大集会室(島根県松江市西川津町1060)
詳細情報
http://lisa.shimane-u.ac.jp/new/new.asp?disp=2&id=309

廃棄処分される蔵書を手ごろな価格で買えるチャンス.しょーじきなところ,図書館の蔵書の廃棄処分ってのは,蓄積された情報の切り崩しとも新陳代謝ともつかなくて,あまり感心しないのですが,話としてはオイシイと思ってしまうのは隠しきれません,ハイ.このリユース市には一度も行ったことはないのですが,期間中に大学の近くまで仕事で出かけるんで,寄ってみましょかね.


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出雲中央図書館創立60周年図書館フェスタの「本のリサイクル市」

日時
2007年11月03日(土)12:30-17:00
場所
出雲市立出雲中央図書館 玄関前(島根県出雲市大津町1134)
詳細情報
http://izumolib.icv.ne.jp/toshoseisakuka/sub_img/07fesuta/fesutatop.html

こちらは「保存期限の過ぎた本や雑誌」を無償で譲ってくれます.家から自転車で行けるんで,ほぼ毎回出かけてます.仕事柄,デザインが気になる雑誌を持って帰ることが多いです.早いモン勝ちの世界(汗).


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2007年10月20日

島根県立大短大部の情報誌『のんびり雲』創刊

読みものが中心の定期刊行物のデザインのお仕事お待ちしています,石川陽春です(営業).

島根県立大学短期大学部総合文化学科の文化情報誌『のんびり雲』の創刊号が出たとのこと.

去年刊行された創刊準備号を,同大学の小泉凡さんから1冊いただいて持っていますが,なかなかよくできていて感心したのです.取材,執筆,編輯,レイアウトのほとんどを教員と学生で手がけたそうです.映画『白い船』の舞台となった海辺の小学校や,松江の醤油屋に,学生が出かけては日常の営みを丁寧に書き記し,誌面のレイアウトにも勉強の成果が現れて,読みやすく目にも楽しい.出だしとしては上出来だと思ったものでした.

以下のリンク先に,創刊準備号のPDFファイルがあります.

手応えのある第一歩を踏み出していたものですから,創刊号のスタッフはさぞかし大変だったろうと思いますが(笑),どんな出来映えになっているか,書店での出会いに期待しましょう.

2007年10月 7日

『MACPOWER』休刊と『水戸黄門』

図書館で毎月借りて読んでたMacな雑誌『MACPOWER』が,発売中の10月号で「休刊」ナノダとか.編集後記が休刊告知に替わってたノダけど,その前に予告もなかったから,ちとビックリ.

でも,唐突ではあっても意外な感じはしなかったノダ.2年近い前だったかニャ,いかにも「アスキーから出てます」って顔のPC雑誌から,クリエイター向けのライフスタイル雑誌みたいな中身にガラッと変わっちゃったのね.PC雑誌あんまり読まないタヌぼーにゃ,今の路線の『MACPOWER』は「唯一毎月読みたいと思うMacな雑誌」だったワケだけど,昔からの読者は,きっとそーじゃなかったんだろニャってのは,ワリと容易に想像がつくノダ.

近年のナショナル劇場『水戸黄門』みたいなモンですわ.4代目黄門に石坂浩二を迎えて,それまで30年かけて「水戸黄門と言えばこの時代劇しか思い浮かばないっ」てくらいに築き上げた定番スタイルをリセットしたものの,結局2シリーズの短命に終わって,ナショナル劇場でおなじみの里見浩太朗に交替してもとの路線に戻しちゃった,アレですわ.あたしゃ石坂黄門って大好きだったんで(書き出すと長くなるんで,今日のとこはやめとく),最初からナショナル劇場とは関係なく,市川崑(石坂黄門のタイトルバックを担当)監督作品の東宝映画でやってたらニャって,今でも思うとります,ハイ.

2007年10月 4日

『日本のロゴ:企業・美術館・博物館・老舗…シンボルマークとしての由来と変遷』

本の写真

ひと月ちょっと前のことですが,『日本のロゴ:企業・美術館・博物館・老舗…シンボルマークとしての由来と変遷』(成美堂出版)という本を衝動買いしてしまいました.ま,税別1,300円の衝動買いですが(笑).

書名の通り,日本でおなじみのロゴタイプやシンボルマークを,有名企業(外資系を含む)のものを中心に数百例(よー数えまへん)取り上げて,それぞれの由来や,色・かたちなどに込められた意味が解説されています.専門家よりは一般向けの内容で,A5判約200頁フルカラーに1頁あたり1,2社ずつ,テンポよく紹介してあります.これで1,3000円というのは,なかなかオトク.

例えばSoftBankのロゴタイプの左にある黄色の「=」が何を象徴しているだとか,みたいな「言われてみて初めて知った」話とか,ある会社のロゴタイプに含まれるこのストライプは,ひとつひとつが企業理念を表現している,みたいな「んなの知らんガナ」とついツッコミたくなる説明(当の企業やデザイナーにしてみりゃ,きっと大マジメな問題ですが)とか,そごうの紋が,呉服店を前身とする百貨店らしい由来を持っているとか…….

いつもはなんとな〜く空気のように感じている身の回りのロゴタイプやシンボル・マークを,じっくり観察してみたくなる,そんなきっかけを与えてくれそうな本です.

ただ,それぞれのロゴタイプやシンボル・マークの制定年がわかるものは,企業データやデザイナーの名前の欄に併記してあるとよかったのですがね(解説文中に出てくる場合はありますが,見つけにくい).

日本のロゴ―企業・美術館・博物館・老舗…シンボルマークとしての由来と変遷
成美堂出版編集部
成美堂出版 (2007/08)
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2007年8月31日

『MACPOWER』9月号をマネてiTunesのプレイリストを作ってみたノダ

MACPOWER』9月号の特輯「CREATORS' PLAYLISTS」で,クリエイターと呼ばれる人たち24人が,iTunes Storeで購入できる楽曲でプレイリストを作ってるんで,タヌキぼーやもマネしてみたノダ.

テーマは「タヌキぼーや,2007年の夏をこれで乗り切る」.

プレイリストの画像

ハイ,ヒジョーにハッキリと傾向が出ましたね(笑).しかもエレクトロニカとピアノ多重録音にどっぷり浸かった夏.とは言ってもiTunes Storeにない曲に手ェ広げると,また違う選曲,違った顔ぶれになるノダけどニャ.

それでですな,iTunes StoreのiMixに,このプレイリストを載せちゃったノダ.iTunesを起動して,試聴しちゃってちょ.

iMixのジャケットの画像

2007年8月28日

『dictionary』定期購読

島根県内では手に入らない(らしい)老舗のフリー・ペイパー『dictionary』の年間定期購読を申し込みましてニャ,その初回分が今日届いたノダ.

包みを受け取ったところ,フリー・ペイパー1冊のわりには重いし,いろんなものが入っているよーな……と思いつつ開封したらニャンと,

最新号にバックナンバー3冊の写真

バックナンバー3冊のオマケつきじゃござんせんか.

バックナンバーの発行年は,それぞれ1991年,1998年,2006年.写真の通り,判型もデザインもゼンゼン違うノダ.

『dictionary』の記事自体は,前号からwebでJPEG画像の状態で読めるよーになってるノダけど,この思わぬプレゼントを手にとっちゃ,あーた,定期購読を選んで正解ってトコですわニャー.

2007年8月13日

『歴史学通信』Vol. 31届く

大学院までお世話になった島根大学歴史部屋(大相撲かいな)の学生が編輯・発行する雑誌『歴史学通信』が今年も届きました.

その写真

ここ数年現れていた学術雑誌指向が,ついにここまでになったか,という第一印象です.修士論文の掲載や授業の受講報告に加え,今回は学会報告用のレジュメや留学先からの報告,先生方を巻き込んで「学問をするということはどの様な意味を持つのか」というテーマでの寄稿(授業料を払う以上,学生は先生方を大いに活用するべきです[笑])を載せるなどといった,実に意欲的な誌面になっています.

ワタクシが10年前『歴史学通信』の編輯にかかわったときも,当時文科系の学術分野でも普及のきざしが見えていたインターネットを巻き込みつつ,学術雑誌を指向したものでしたが,プロトタイプの域を出るには至らなかった(ただ,今日にも通用する誌面づくりのアイディアは盛り込んでいたという自負はあります).しかし昨今は,研究室で今どのようなことが行われているか,その多様な面が多くの学生・教員の声を通じて現れるようになった.かつての関係者として,悦ばしく思います.

ただ,原文縦書きの論文を横組みで掲載する場合,漢数字が読みにくくなりますから,原文通り縦組みにして巻末から頁を始めるか(縦組みと横組みが混在する雑誌ではよく見られます),横組みにするのであれば,固有名詞や史料引用以外の漢数字を半角英数字に改めた方がよいでしょう.これはグラフィック・デザイナーの立場からの助言でございます,ハイ.

それから,松江市内2店の古書店を訪ねて店主にインタヴューした短い記事.目のつけどころがいいですね.こういう店でなければなかなか出会えない本や資料も多いはずですから,学生が古書店に通うきっかけになれば何よりのことです.

2007年8月12日

『つくる図書館をつくる:伊東豊雄と多摩美術大学の実験』を買ってくる

いずもる」の仕事でお世話になったita&co(愛称はイタコ)の長谷川直子さんが編輯に参加した『つくる図書館をつくる:伊東豊雄と多摩美術大学の実験』(鈴木昭+港千尋+多摩美術大学図書館ブックプロジェクト=編,鹿島出版会,2007)を,やっと手に入れました(買いましたよ〜←私信).

その本の写真

注文した書店にはひと月以上前に届いていたのですが(ヲイ),その書店というのが,島根三大暑がり+自動車で行くと乗り物酔いする+そもそも家中誰も自動車免許持ってないタヌキぼーやにとっては,この季節行きにくい場所にあるため,今ごろになって意を決した次第(爆).さすがにひと月以上取りに行かないのもどーかと思って(汗).

先日Podcastの話題として紹介した《多摩美術大学八王子図書館》のコンセプト・ブックとでも言いましょうか.建築書専門の出版社から出た本ですから,ハードとしての図書館の話もみっちりやっているはずなんですが,それに負けない勢いでソフトの話も濃厚なことになっている気配.

伊東豊雄建築設計事務所のスタッフによるカヴァーのイラストレイションは,図書館内部のスケッチです.でもよく見ると,描かれているのは「ペーパーハンガー」「見える閉架」といったフシギな名前がつけられたモノや空間ばかり.まるで「夢の図書館」のようですが,これを実際に建てて開館しちゃったというわけだから,頭の中は「?」でいっぱい,ポケットは虹でいっぱい(再生YMO??)……ただいまNHK-FM「小山田圭吾の中目黒ラジオ」聴きながら書いてます(意味不明).

というわけで,これから読みます(宣言).

つくる図書館をつくる―伊東豊雄と多摩美術大学の実験
鈴木 明 港 千尋 多摩美術大学図書館ブックプロジェクト
鹿島出版会 (2007/07)
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2006年7月 4日

『+DESIGNING』01の愉快な表紙

毎日コミュニケーションズのムック『+DESIGNING』01は,まるごと1冊「文字。」の特輯だってんで,もともと文字の世界からデザインに足突っ込んだタヌぼーとしちゃ見逃せないってワケで,早速買ってきたノダ.中身はまだパラパラめくったくらいナノダけど,まずは表紙がとっても楽しいんで,それだけでも紹介しちゃうノダ.

+DESIGNING Vol.1
+DESIGNING Vol.1
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毎日コミュニケーションズ (2006/06)

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2006年1月28日

出雲市図書館まつりへ行く

出雲市図書館まつり主会場の写真

おととい情報のっけた出雲市図書館まつりに行ったノダ.

まずはパルメイト出雲1階ロビーでの古本市がさ,「この本をこんな値段で買っちゃっていいんですかい? ダンナ(誰)」てくらいのお手ごろ価格で.文庫判が1冊10円,単行本も1冊30円から100円だったノダ.

本日のお買いもの↓

  • 谷崎潤一郎『新々訳源氏物語』単行本,全10巻+別巻(ただし巻七を欠く)
  • NHK取材班『シルクロード』全6巻(NHK特集の書籍化)
  • 『江戸東京博物館総合案内』
  • 『戦後日本を駆け抜けた異色の前衛 勅使川原蒼風』展覧会カタログ,全2巻
  • 宮脇俊三の文庫本5冊

これほど買って1,000円札出しておつりがもらえたノダ.こんな機会めったにないノダ.さて,いつ読もっか(爆).

主会場の4階ホールは,図書館5館と文化団体のブースと講演会場がひしめきあって,老若男女で大にぎわい――あ,写真は“小にぎわい”の時間帯に撮ったんで,ちとさみしそーに見えちゃうノダけど(笑).さてさて,タヌキぼーやは昔とったキネヅカで,歴史方面のブースに足が向いたノダ.明治初年にアイルランドに私費留学したあと大津町で私塾を開いた勝部其楽(きらく)とか,大社の古文書を読む会とか,出雲の阿国とかね.

海辺の多伎図書館は,絵図のおっきなプリント出してたノダ.

まずは広島大学附属図書館所蔵「中国五県土地・租税資料文庫」から,明治初年の地租改正のときに作られた多伎地区5ヶ村の絵図.土地に課税する制度を始めたときの絵図なんで,土地の区画と通し番号がこまか~く書いてあるノダ.「中国五県土地・租税資料文庫」の絵図は,高精細ディジタル画像化したものの一部を,島根大学附属図書館の「絵図の世界展」で去年見たノダけど,多伎図書館じゃ,その多伎地区版が見られるらしいノダ(会場で配付のパンフレットによる).一度行ってみなくちゃ.小田駅から200mちょいみたいだし.

もーひとつは出雲国全体の絵図.うち1点は,『出雲国風土記』が書かれたころの出雲国を描いたモノナノダけど,絵図に記されたところによると,『風土記』に記された天平5年(733)の出雲国の様子を,寛政11年(1799)に尾張名古屋藩主が描かせた絵図を,大正12年(1923)に誰かが書き写して,それをまた昭和14年(1939)に大津村(現・出雲市大津町)の人が書き写したっちゅー,ヤヤコシイことこの上ないシロモノ(笑)ナノダ.今の宍道湖にゃ,島は嫁が島ひとつしかないけど,この絵図にゃ,宍道湖から日本海に注ぐ今の佐陀川の入口あたりに,「出島」ってのが描いてあるノダ.こんな島,聞いたことないぞよ.『風土記』にゃ載ってるのかニャ? うーむ,『風土記』くらい読まなきゃニャ.

ウチから一番近い市立図書情報センターの展示は「昭和を振り返って」.関聯書のほか,同じ場所の異なる年代の写真,歴代市旗,歌謡曲のレコード,前身館の蔵書印を押した本,各年代の雑誌やらなんやら,小さなブースにいろいろ見ものがあったノダ.

戦時中の『週刊朝日』なんてビックラこいたニャ.B4判なんだもの.今どきのちょいとこじゃれたfree paperみたいナノダ.表紙にゃ切手貼る位置が指定してあって,“兵隊さんの慰問品として贈ることができます”みたいなことが書いてあるのは時代でんな.

昭和24年(1949),29年(1954),39年(1964)の島根県の電話帳なんてのも出てたぞよ.頁数は15年間で約100頁から約300頁にう~んと増えてるけど,どれもB5判で2段組.昭和39年になっても多くの市町村じゃ,電話番号が市内局番なしの1桁,2桁,3桁で済んじゃってるノダ.その後いかに電話が普及したかってことだよね.今じゃひとり1台携帯電話の世の中だもの.

そんなこんなで,いや~,タマランかったノダ.

2006年1月26日

出雲市図書館まつり:図書館は宝箱

やむにやまれず進められたという感の強い「平成の大合併」でしたが,こういう話題に接すると,合併してよかったこともたまにはあると思えてきます.

合併前の旧市町から引き継がれた図書館や,そこを拠点に活動する文化団体などが一堂に会して,子どもからお年寄りまで楽しめそうなことを,何やらいろいろやる模様です.

島根大学附属図書館所蔵の国絵図も展示されるとか.ということは,昨秋の「絵図の世界」展(タヌキにゅーす)の展示品の一部を,再び見られるのかも知れませんね.

日時
1月28日(土)10:00-17:00
場所
パルメイト出雲(JR出雲市駅北口徒歩1分)
内容
古本市(10:00-13:00)
今市小2年「図書館たんけんお宝はっけん」(10:00-10:15)
其楽会(きらくかい)講演会(10:15-10:45)
落語絵本の読み聞かせ(10:45-11:15)
昔なつかし紙芝居屋さん(11:15-12:00)
絵本作家野坂勇作さん講演会(13:30-15:30)
図書情報センター「昭和を振り返って」
佐田図書館「郷土須佐 探訪」
大社図書館「出雲阿国と大社」
平田図書館「おり紙と絵本の世界」
海辺の多伎図書館「絵図展(写真版)」
絵本作家ワイルズ一美さん原画展
島根大学附属図書館提供「出雲国絵図の世界」
古文書を読む会「古文書から知る出雲平野の開発」
漢詩を楽しむ会「漢詩展」
其楽会「其楽会の歩み:郷土の偉人を知ろう!」
しおり作り教室
本の病院:こわれた本、直します
折り紙教室
問い合わせ先
出雲市立図書情報センター
電話:0853-21-0487

2006年1月24日

雁木

NHKのお昼のニュースに続いて目に入った『生中継ふるさと一番!』ってTV番組で,新潟県上越市から雁木のある街並みを紹介してたノダ.

軒先を道路に張り出した木造の商家が何軒も何軒も並んで,アーケード状の歩道になってるノダ.雪深い町を歩きやすくするための工夫でんな.厳しい雪国の暮らしが生みだした知恵の結晶であると同時に,趣深い景観でもあーる.木造のアーケードだなんて,ステキナノダ.

上越ってことでピーンときて,『北越雪譜』に雁木について書いてないか探してみたら……あったぞよ.『北越雪譜』を「刪定」した山東京山(京山人百樹)が越後を訪ねたときの感想ってことで載ってたノダ.たのしかったみたいよ.

江戸の町にいふ店下(たなした)を越後に雁木(がんぎ)又は庇(ひさし)といふ、雁木の下広くして小荷駄(こにだ)をも率(ひく)べきほどなり、これは雪中にこの庇下を往来(ゆきゝ)の為なり。余越後より江戸へ皈(かえ)る時高田の城下を通(とほり)しが、こゝは北越第一の市会(しくわい)なり。商工軒をならべ百物備(そなはら)ざることなし。両側一里余庇下つゞきたるその中を往(ゆく)こと、甚(はなはだ)意快なりき。

鈴木牧之『北越雪譜』二編巻之一「家内の氷柱」(岩波文庫版)

ちなみに雁木って,広島じゃ太田川の船着場を指すんだって.最近は水上タクシーの発着に使ってるって話題になってるノダ.ところ変われば名は変わらねども品変わるってとこかいな.

2006年1月15日

『20世紀デザインヒストリー』

『20世紀デザインヒストリー』の画像

みなさま,謹んで新年のおよろこびを申し上げます.『たぬき家小春の懸賞生活』本年第1回目として御紹介いたします品はこちらの1冊.渡辺千春+サラ・ディズリー『20世紀デザインヒストリー』(プチグラパブリッシング,2005)でございます.

本書はその名の通り,20世紀のデザインの歴史を著したもので,日本語と英語の2言語で併記されております.20世紀を10年で区切った各章に,その年代を代表するプロダクトや現象について,カラー図版を添えて解説してあります.どの項目も1頁もしくは1/2頁をあててありますから,テンポよく読み進めることができるようになっております.

全体といたしましては,日本発のデザインに関する項目が占める割合が多いように見受けられます.柳宗理やウォークマンから,戦時中の国民服,電気釜,カップヌードル,ファミリーコンピュータといった「エ? これもデザイン史で取り上げるの??」と思わせるものまで,多岐にわたって取り上げられております.身近にありふれたモノでも,デザインの視点から見ることによりまして,普段とは違ったモノが目の前に浮かんでくるかも知れませんね.

デザイン史の本だけに,巻末には「グラフィック」「プロダクト」「ファッションと素材」「建築」「社会現象」の5項目を並列させた,35頁にわたるデザイン史年表つき.

20世紀のモダン・デザインを代表する書体と申してよろしいでしょう―Helveticaで欧文書体を統一するとともに,明快なグリッド・システムでレイアウトされたブック・デザインも見逃せません.

『たぬき家小春の懸賞生活』,今回はこのへんで失礼いたします.みなさま,ごきげんよう.

20世紀デザインヒストリー
渡部 千春 サラ ティズリー Sarah Teasley
プチグラパブリッシング (2005/09)

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2006年1月11日

融雪洪水

このところの大雪が一段落して,地元のニュースじゃ「雪崩に注意」って言ってるけど,全国のニュースじゃ,「融雪洪水」なるものにも注意を呼びかけてたノダ.

呼んで字の如く,雪が融けて洪水になるってことだよね.そーゆー現象があるなんて初めて知ったノダけど,年末の予告通りに『北越雪譜』をボチボチ読み進めるうちに,融雪洪水の記事に出会ったノダ.

大小の川に近き村里、初雪の後洪水の災に苦む事あり。洪水を此国の俚言に水揚(みづあがり)といふ。余一年(ひとゝせ)関といふ隣駅の親族油屋が家に止宿せし時、頃は十月のはじめにて雪八九尺つもりたるをりなりしが〔略〕水は低(ひくき)に随(したがひ)て潮(うしほ)のごとくおしきたり、已に席(たゝみ)を浸し庭に漲(みなぎ)る。次第に積たる雪所として雪ならざるはなく、雪光暗夜を照して水の流るありさま、おそろしさいはんかたなし。

鈴木牧之『北越雪譜』初編巻之上「雪中の洪水」(岩波文庫版)

さんざん降り積もったあとは,大水になって押し寄せるってんだから,そりゃ「おそろしさいはんたな」いのもモットモな気がするノダ.

読み進めていくと,雪の季節に洪水が起きるのは,川を流れる大量の雪融け水が,まだ融けずに残ってる雪に流れを遮られて,ついには「堤のきるゝがごとく」あふれ出しちゃうからなんだって.

江戸時代に比べて治水技術が進んだ現代とは言っても,こーゆー脅威と隣り合わせに暮らしてる人たちが,そんな遠くないトコにいるノダと思うと,『北越雪譜』の世界がこの冬に重なって見えるノダ.

2005年12月26日

西浦白源『帝都帰遺』

『帝都帰遺』本文の写真

昨日はこれから読むモノ紹介したんで,今日は今読んでるモノを取り上げましょ.

西浦白源『帝都帰遺(ていとみやげ)』(1812).

江戸時代の紀行文だけど,活字化されてなくて,著者の自稿本を覆製した覆刻版(編・解説:松尾寿,報光社,1977,非売品).これ読んだことある人の大半は,松尾寿先生の日本史講読を受講した人じゃなかろか.かく言うタヌキぼーや,島根大学で受講した最後の学生の1匹でござんした.

さてこの本.江戸時代後期,摂津国(現・大阪府)の上層農民の家に生まれた西浦白源(1786-1867)という人が,文化9年(1812)夏に京都見物の旅をしたときの記録ナノダ.

一行の5人は,大坂(現・大阪市)から伏見(現・京都市)まで淀川を船で上って京都入り.7日間かけて,祇園祭の宵山と山鉾巡行を見物したほか,洛中洛外の名所旧蹟を訪ねて廻ったことが記されてるノダ.銀閣や西本願寺の飛雲閣を拝観したとか,狩野元信の襖絵を見たとか,今とほとんど変わらないよーな観光旅行の様子が伝わってくるノダ.

白源自作の挿絵,漢詩(狂詩が多いけど)や狂歌が随所に出てきたり,自註として旧蹟の来歴や古い和歌がたくさん添えられてたりしてて,著者の教養の高さも伝わってくるノダ.文化9年と言やぁ,白源は満26歳……タヌぼーの実年齢より若いぞよ(汗).大学で江戸時代の古文書見てきてよーくわかったノダけど,この時代は地方の都市や農村にも,学問や藝術に通じた人が少なからず出てきて,地方の文化の発展に寄与してるノダ.昨日のにゅーすで出した『北越雪譜』の著者・鈴木牧之もそーゆー人ナノダ.

そのほかオモロいのは,漢語に和語の振り仮名をつけたり,ひとつの漢語に音読みと訓読み,2通りの振り仮名をつけたりした箇所がたくさんあるノダ.「鉄面」は「つらあつくも」,「陸産海生」は「りくさん かいせい」「ヲカノモノ ウミノモノ」……ってな具合に.たぶん漢語に明るくない読者への配慮でしょーな.ときにゃユーモラスでもあるわいな.こーゆー振り仮名のつけ方って,明治期の新聞にも引き継がれてるから,初めてこの本読んだときにゃ,それを思い出したノダ.

書中,読み残す日付はあと2日.年内にゃ夏の京都から冬の越後に行けそうですわ.

2005年12月25日

この冬は『北越雪譜』読もっかな

何年前だったか,TVの歴史番組で,鈴木牧之『北越雪譜』(初編1837,二編1841)刊行の経緯を取り上げてたノダ.越後国塩沢(現・新潟県南魚沼市)で縮(ちぢみ)の仲買業を営み,商用で江戸との往来があった牧之(1770-1842)が,温暖な地方に住む人には想像もつかないよーな雪国の厳しい暮らしぶりを紹介する書物を,構想,版元探しから執筆まで40年近く費やして出版にこぎつける.で,初編発刊間もなく,江戸で700部売り上げるベスト・セラーになったノダとか.

そんな気の遠くなるよーな歳月かけてまで,越後の商人が世に出したかった雪の本ってどんなモノだろか? 長年の暖冬で,こちら簸川平野は雪と縁の薄い土地になっちゃっただけに,タヌぼーにとって雪ってのは,せいぜい雪あそびの雪か,時々交通に影響を及ぼす雪くらいなモノでしかないノダ.いわば牧之の時代に生きた江戸の住人のよーな目で,『北越雪譜』にゃキョーミ持ってたノダ.

だけどこのところの大雪で,屋根から落ちた雪の下敷きになって人が死んだとか,鉄道が終日運休したとか,そんなニュースが連日伝わる今日コノゴロ.タヌキ小屋あたりもたびたびの積雪.気象庁は冬の予報を「暖冬」から「20年ぶりの寒い冬」に修正したそーだニャ.いつもの冬よりちょっとだけ身近に雪国の気配を感じながら,この冬は『北越雪譜』を読んでみよっかニャ,なんて思うノダ.

今,岩波文庫版をパラパラめくってるノダ.初編冒頭では,くもりたる雲冷際に到りまづ雨となる。この際冷際の寒気雨を氷すべき力たらざるゆゑ花粉をなして下す、これ雪なりと,まずは雪を定義して,牧之による雪の結晶のスケッチまで掲げつつ,さながら“雪の科学”.モチロンこれはほんの出発点に過ぎなくて,字面で冬のキビしさが充分伝わってきそーな「雪中の洪水」「雪中の葬式」,土地の伝承・伝説とおぼしき「斎の神勧進」「両頭の蛇」「鶴恩に報ゆ」…….見出しとか,主に山東京水(京山の子.京伝の甥)の筆になる挿絵とか見てるだけでも,雪と雪国のすべてを書き尽くしそーな勢いが伝わってくるノダ.

北越雪譜
北越雪譜
posted with amazlet on 05.12.25
岡田 武松 鈴木 牧之
岩波書店 (1978/01)

引用者註

『北越雪譜』からの引用のうち,一部の漢字は仮名に改めました.

2005年12月22日

本から始める能楽鑑賞[1]

ラジオで能楽鑑賞」「TVで能楽鑑賞」のつづきです.

小学校に入る少し前のことではなかったかと思います.両親に買い与えられた『学習百科大事典アカデミア』(全23巻,コーキ出版,新訂初版1980)の1巻に,『国語辞典』がありました.その口絵のうちの1頁には,「文楽・歌舞伎」とともに「能楽」という項目が立ち,能の定義,「紅葉狩(もみじがり)」の舞台と「羽衣(はごろも)」のシテの写真,能舞台の平面図が掲げられていました.中でも「紅葉狩」の写真に映し出された,後シテ率いる鬼女軍団が,舞台中央から橋懸にかけてズラリと並ぶ場面は,左右非対称の舞台の形状が引き立って見え,強い印象を受けたものでした.

それにもかかわらず,祝日の午前中の能TV放送に見向きもしなかったのには,今となっては不思議でなりませんが,ともかくこの世に能というものがあるのを知ったのは,このような経緯でした.

小学4年になると,必修のクラブ活動がありました.私は希望空しく散って,百人一首のカルタ取りを覚えることとなりました.それがきっかけだったのでしょう,学校の図書室で,日本の古典文学のあらすじを児童・生徒向けに紹介する本のシリーズを読み始めました.その中に,『お能・狂言物語』(初版1956?)と題する1冊を見つけました.著者は野上彌生子(1885-1985).後に知りましたが,能楽研究でも知られる夫・野上豊一郎とともに,漱石に師事した作家です.

書名には「能楽」でも「能」でもなく,「お能」とありました.さらには「狂言」の2文字が続いています.しかしおそらく国語辞典の口絵で見た能のことだろう,祝日になるとノッポさんやチョーさんを中止にして放送する,にっくき(笑)能だろう,と直感したのかも知れません.何とも気になって手にとり,パラパラと頁を繰りました.

すると,「西王母(せいおうぼ)」「小鍛冶(こかじ)」「実盛(さねもり)」……といった曲の物語が,諸国の昔ばなしを集めた本のようにいくつも,やさしい言葉で続きます.とりわけ脇能物や,これに準じて祝言性の高い「小鍛冶(こかじ)」「羽衣(はごろも)」といった曲に,清々しい読後感を覚えました.

「しかしかえしたら,すぐ,それで天にあがってしまって,舞は見せてくれないでしょう.」
「うたがいぶかい心は,人間のもつもので,天人は,うそなどは言いません.」
きっぱりと決めつけられて,伯竜は,すっかりはずかしくなり,では,どうぞ,と言って羽衣をわたしました.
「羽衣」野上彌生子『お能・狂言物語』

そうした読んで心地よい物語が,舞台上でどのように演じられるものなのか? ということに初めて考えが及んだときこそ,祝日の朝のTVが待ち遠しくなった瞬間であったように思います.

(つづく)

日本の古典物語 (17)
日本の古典物語 (17)
posted with amazlet on 05.12.06
野上 彌生子
岩崎書店 (1986/03)

2005年12月17日

松本侑子『赤毛のアンの翻訳物語』と私

先日,出雲市出身の作家・松本侑子さんの講演会に行って来ました.短篇「赤萩の家」(『引き潮』幻冬舎,2004)の朗読と,何でも『冬のソナタ』に刺戟されて生まれたという最新刊『海と川の恋文』(角川書店,2005)のお話が中心でした.私と同郷にして高校の先輩に当たる作家の近況に触れることができました.

1996年だったでしょうか,学生時代にも松本さんの講演を聴きに出かけたことがあります.その折の話題は,自らが手がけた『赤毛のアン』翻訳(集英社,1993)の舞台裏.当然ながら,作品と作者モンゴメリ,そして英語文学にまつわるエピソードもさまざま紹介されたわけですが,意外と多くの時間を割いて松本さんが話したのは,翻訳作業でPCやインターネットが大いに役立ったということでした.

1996年といえば,私が通っていた大学では,情報処理センターや附属図書館に,学生が利用することのできるインターネット端末が配備され,所属学科ではようやく「情報処理実習」という授業が必修科目になった年です(1995年に入学した私は,選択科目としてその授業を受けました).私自身は,大学では学生研究室の雑誌の編輯のために,PCをしばしば使う機会がありましたが,用途は専らワード・プロセッサーによる文書作成.自宅で,高校時代に買った専用機を用いるのと,さほど変わりません.また,インターネットに関しては,右も左もわからないまま,好奇心ひとつでwebブラウジングを始めたばかりでした.将来の卒業研究をはじめ私自身の生活で,PCやインターネットは具体的にどのように使えるものなのか,といったことには,いまだ具体的な展望を持っていなかったように思います.

その折節,松本さんの話は,文学や社会科学の分野におけるPCやインターネットの活用事例として,興味深く聴くことができました.詳細は,のちに『赤毛のアンの翻訳物語』(集英社,1998)として単行本化されています.

作中に多数潜む,シェイクスピアをはじめとする過去の英語文学からの引用を,CD-ROMやwebを検索して探り当てる過程.スキャナーとOCRソフトウェアを用いて,紙の文献をテキスト形式のデータに変換.テキスト・データ化された文学作品をFTPサイトからダウンロード…….時宜に応じたPCの環境の更新を含めて,“電子書斎奮闘記”が時系列で綴られた1冊です.PC/インターネットの1990年代を,作家の視点からとらえた記録としても読み応えがあります.

私は英語文学ではなく日本近代建築史を専攻しましたから,自分の研究に直接役立つことなど,まず書いてあるはずがないのです.しかしながら,1997年に初めてPCを購入し,インターネットに接続して以来,本書の内容には多くの点で共感してきました.初めてPCのパーツを追加したり,ソフトウェアをヴァージョン・アップするときの緊張感.活字文献を扱う者にとっては垂涎の技術と言うべきOCRの体験.あるいは,日本語で書かれた史料や,趣味として読む日本語の文学作品も,インターネットで公開されるようになればいいな,と近未来を夢想したものでした.

先日のタヌキにゅーすで,坂本龍一さんを通して初めてインターネットの存在を知ったということを書きましたが,自分が使う道具としてのPCやインターネットの可能性を明示してくれたのは,松本侑子さんでした.皮肉なことに,私の“電子書斎奮闘記”の序章と軌を一にして,小説をほとんど読まない歳月を送るようになってしまいましたが,「赤萩の家」という品のよい小説の自著朗読を聴くうち,新しい作品も手に取りたくなりました.その点において,著書を購入してサインをいただく間もないまま,講演会場を後にしなければならなかったのは惜しい限りです.

赤毛のアンの翻訳物語
松本 侑子 鈴木 康之
集英社 (1998/08)
赤毛のアン
赤毛のアン
posted with amazlet on 05.12.17
L.M. モンゴメリ Lucy Maud Montgomery 松本 侑子
集英社 (1993/04)
売り上げランキング: 194,807
引き潮
引き潮
posted with amazlet on 05.12.17
松本 侑子
幻冬舎 (2004/09)
売り上げランキング: 118,395
海と川の恋文
海と川の恋文
posted with amazlet on 05.12.17
松本 侑子
角川書店 (2005/12/01)

2005年11月26日

「絵図の世界」展の図録に講演記録が

「光の道」島根上映会の前に,島根大学附属図書館の「絵図の世界」展(タヌキにゅーす)に行きました.詳しい報告は日を改めて書きますが,どうしてもひと言だけ.

上映会の時間帯に,展示会関聯行事として大学で講演会があるということで,さきのタヌキにゅーすに,

あ,できれば図書館か研究室か『歴史学通信』で,講演会を活字化してくれたらニャ~なんて(ボソッ).いやあの,こりゃ半ば本気で思うナノダ.のちのちのための記録も大事だからニャ.

と書きましたら,図書館のカウンターに置いてあった展示会のチラシに,

絵図展の図録および講演会の記録を合わせた本を来春出版する予定です。

の1行を発見.

いや~,思いが通じたのか,考えていることが一緒だったのか,ただの偶然なのか(笑)知れませんが,ともかくうれしいです.このテーマではこれ以上ないと思われる講師陣が勢ぞろいしていますから,大いに期待しましょう.

2005年11月23日

豆腐連歌

最近刊行された松岡心平編『ZEAMI:中世の芸術と文化』第3号(森話社,2005)に,詩人の高橋睦郎さんが茂山千五郎家のために書き下ろした新作狂言「豆腐連歌(とうふれんが)」の詞章が掲載されています.

近年とみに知られるようになりましたが,茂山千五郎家には「お豆腐主義」「お豆腐狂言」と呼ばれる“家訓”があります.これは,狂言は能舞台でのみ演じるものとされた時代に,会合の余興にも出向いて狂言を演じた二世茂山千作(1864-1950.四世千作,二世千之丞さんの祖父)が示した,

〔お豆腐〕それ自体高価でも上等でもないが、味つけによって高級な味にもなれば、庶民の味にもなる。お豆腐のようにどんな所でも喜んでいただける狂言を演じればよい。
茂山千五郎家のweb

という考え方に由来するそうです.目指すは万人に愛される狂言,といったところでしょうか.

あとがきによると,もともと高橋さんに対する茂山千之丞さんからの依頼は,「お豆腐狂言」をテーマにした狂言小謡(「豆腐連歌」に併載)を書いて欲しい,というものだったそうです.ところが高橋さんの脳裏には,木綿豆腐と絹豆腐が言い争う姿が思い浮かび(笑),ついに新作狂言も併せて誕生となったとのこと.

人間も動物も植物も出ず,登場するのは食品だけ.互いを邪道の豆腐と批判し合う木綿豆腐と絹豆腐が,問答の末に和解し,その印として連歌を詠み始める……というのが「豆腐連歌」のあらすじですが,最後の最後にアッと驚く結末が待っています.こんな終わり方する狂言,私は見聞きしたことがありません.是非とも掲載誌で確認しましょう.

2005年11月21日

『アートスケープ・クロニクル 1995-2005 :アート,ネット,ミュージアム』

美術情報の老舗サイトartscapeが,前身の時代を含めて開設10周年ってことで,この10年のアート・シーンをまとめた本『アートスケープ・クロニクル 1995-2005 :アート,ネット,ミュージアム』(大日本印刷株式会社ICC本部)が出るノダ.

紙媒体は25日発売だそーだけど,ひと足先に「web版」なるものが公開されてて,ニャンと全文が読めるとか.

web版の説明にゃ,

ネットでの閲覧は、本感覚のビューワを使ったDNPの「デジタルページメディア」ソリューションを採用しています。

とあるノダけど,実際に見たところ,Flash Paper(頁の概念を持ち,独自のヴューワーを内蔵したFlashコンテンツ)をブラッシュ・アップした感じの画面.右頁をクリックすると次頁を,左頁をクリックすると前頁をめくる(左綴じの本書の場合)よーな直感的な操作ができる上,附箋やペン書き込みの機能までついて,まさにモニター上の本ナノダ.文字列の選択はできんこと除けば,ファイルも操作も軽いし,使いやすいノダ.

とは言え,ナニしろ約200pp.もあるんで,読むのはこれからボチボチってことで.それにしても,これだけの大部の書籍を体裁ごとインターネット上で再現して,しかもファイル容量や通信速度,動作の軽快感,可読性って点でもラクチンなのには,10年間のインターネット環境の変化をヒシヒシと感じさせてくれるノダ.

本で取り上げてる期間は,タヌぼーにとっても意識的に美術を見てきたり,インターネットに触れてきた期間とほぼ重なるし,今じゃそれらと全く無縁ってワケにゃいかんよーな仕事やってるから,こりゃ必読の書じゃなかろーかって思うトコでござい.

タヌぼーが初めてインターネットに触ったのは1996年だったけど,当時nmpって言ったartscapeは,その最初期から見てたノダ.あのころは,サーチ・エンジンで美術館サイトがなかなか見つけられんかったんで,美術館サイトリンク集を活用してたニャ.artscapeになってからは,展覧会情報にチェックにず~っと使ってるノダ.長いつきあいになったモノだニャ.

アートスケープ・クロニクル1995-2005―アート、ネット、ミュージアム
森 司 村田 真 暮沢 剛巳 「artscape」編集部
大日本印刷株式会社ICC本部 (2005/11)

2005年11月20日

DOOR BOOKSTORE

しもたー.今日は別のネタ出すつもりだったんで,写真撮ってへんノダわ.

いやあのね,松江で用事したあと,DOOR BOOKSTORE(松江市上乃木)に寄ったんですわ.で,そこのマダムやお客さん相手にタヌキにゅーすの宣伝したモノだから,DOOR話をせんで寝るワケにゃいかん展開になってもーて.それなら店の様子を写真に撮らせてもらえばよかったニャ,なんて今さらながら.ま,そりゃエエとして.

DOORってな,石ちゃん語で「山の手」って呼んでる上乃木の住宅地に,個人宅の一部を使って去年の秋に開店した小さな本屋さんナノダ.コンクリート・ブロックの建物でさ,2階まで吹き抜けになってるアトリエに,後藤繁雄とか白洲正子とか美術方面の洋書とか,店のマダムが選んだ本が並んでるノダ.とりあえず週刊誌ってつもりで行っても,んなモンはまるでないノダ.マダムの本棚みたいな感じナノダ.満月の夜にゃディナーがあったり,雑貨だとかコーヒーの入れ方だとかの講座も時々やったりしてるみたい.

そーゆー感じのトコだから,不特定多数の人が入れ替わり立ち替わり覗いてっては消えてくよーなお店じゃなくて,お茶でもいただきながら,マダムやほかのお客さん,とりわけマダムとゆかりのある人と,心ゆくまで店頭の本の話題や藝術談義から世間話まで,あれやこれやおしゃべりしてくつろぐ場所ナノダ.

あたしゃDOORに集まってくる人たちを指して,「上乃木方面の人々」とか「上乃木文化圏」とか呼ぶことがあるノダけど,いろ~んな分野の音楽や美術の関係者や愛好者がたくさん顔出してて,ちょっとした文化サロンになってるノダ.今日は,ゆんべライヴをしたミュージシャンが来て,ライヴに出かけたマダムと先客さんおふたりともども,大いに話に花を咲かせたノダ.タヌぼーもまた,タヌキにゅーす未公開のデザイン談義を,ここじゃ存分にやってるカモ.

2005年11月18日

『SOVIET STYLE』

『SOVIET STYLE』の写真

みなさま,御機嫌いかがお過ごしですか? 『たぬき家小春の懸賞生活』の時間がやって参りました.

先日,さるメイル・マガジンの読者プレゼントに応募いたしましたところ,一昨日当選者の発表がございまして,そして早くも本日,我がタヌキ小屋に郵送されて参りました.

その迅速さに驚き入りつつ,本日御紹介いたします商品は,1917年の革命をはさむ時期のロシアで巻き起こった藝術運動「ロシア構成主義」のデザイン・パターンを収めた本とCD-ROMのセット『SOVIET STYLE』(BNN,2005)でございます…….

……あー,ワレながら気持ち悪いノダ(笑).そろそろ石ちゃん語に戻すノダ.

1910年代ってのは,イタリア未来派,デ・ステイル(オランダ),バウハウス(ドイツ)といった構成主義に立った藝術運動がヨーロッパのあちこちで起きたノダ.それも,絵画,建築,彫刻,デザイン……といった,いろ~んな分野にまたがった形で.点,線,面,多角形や円といった幾何学的なかたちが,どのよーに構成されてモノをかたちづくってるのか,それをあぶり出したノダ.今につながるモダン・デザインの源流ナノダ.

中でもロシア構成主義ってのは,ソヴィエト連邦という社会主義国家の建設運動に結びついて,労働者とか,重工業を中心とする産業,軍事といったモノが,作品の主なテーマになってるノダ.

『SOVIET STYLE』にゃ,ロシア構成主義を再現した100点のパターン見本とそのJPEGファイルが収録されてて,デザイン素材として使うことができるノダ.半分くらいは,上に挙げたよーな,いかにもCCCPって感じのパターン.ねじや歯車,工場やの建物,蒸気機関車に軍用飛行機や軍艦,鎌とハンマー持った労働者……今となっちゃ,ナンデまたそんなモノばかりが大量にデザイン化されてったんじゃろ?? って気にもなるワケだけど,そーいったフシギさを味わうのも『SOVIET STYLE』の読み方なんだろニャ.

SOVIET STYLE
SOVIET STYLE
posted with amazlet on 05.11.18
Tomi Oladipo William Orr Sweeney
ビー・エヌ・エヌ新社 (2005/09/28)

2005年11月 3日

損保ジャパンよ,今年はどーした?

今年の文化の日,ナンかモノ足りないニャと思ったら,日本テレビ系列/損保ジャパン(旧・安田火災)一社提供の,イタリア・ルネサンス美術の特別番組がなかったノダ(参考:昨年の番組のサイト).中学生のころから10年以上,ほぼ毎年見てきてたから,ちとさみしいこっちゃノダ.

このシリーズで《システィーナ礼拝堂》に描かれたミケランジェロの「最後の審判」(1512)の修覆作業を追っかけてたノダ.何百年分もの汚れを落として,鮮やかな色彩を取り戻すのを見たときの感動ったらなかったニャ.大学に入ってから,番組スタッフが修復作業について書いた本が出て,図書館でよく借りて読んだノダ.

ルネサンスの美術と時代を,毎年特定の美術家または都市を中心に,じっくり掘り下げて紹介してきたシリーズだから,これからも続けて欲しいモノだけど,来年以降はどーなるかニャ?

システィーナのミケランジェロ
青木 昭
小学館 (1995/06)
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2005年10月20日

『歴史学通信』第29号

『歴史学通信』第29号表紙の写真

『歴史学通信』第29号が郵送されてきたノダ.とりあえず,パラパラっと読んだだけの状態での紹介を.

この雑誌,島根大学法文学部で歴史学・考古学を専攻する学生が編輯・発行してて,年1回の刊行ナノダ.タヌぼーもその昔,編輯委員長やってたノダ.

今号は,ここ3年のうちでは頁数は一番少ないけど,第27号(2003)以来の,研究室内の活動の様子が詳しく伝える編輯方針は健在.卒業論文(全文?)1篇の掲載は,初めての試みだった前号に続いて実現してるノダ.それから,前年度の学位論文の紹介すべてに,著者自身の解説がついてるってのは,ひょっとして創刊以来の快挙じゃないかい?? 現役学生さん,これ見てたら調べてみてちょ.

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2005年10月17日

植田正治写真美術館「HOMAGE」展

植田正治写真美術館内から見た大山

昨日の松江松聲会を講座だけで抜けて,行った先は大山のふもと,鳥取県西伯郡伯耆町の植田正治写真美術館ナノダ.企画展「HOMAGE:オマージュ・植田正治に捧ぐ─福山雅治・菊池武夫・堀内誠一」に,行こう行こうと思ってるうちに最終日になっちゃったノダ.

先週ヒサビサに会ったイラストレイターのまゆぼーが,堀内誠一目当てで行ってきたって言ってたノダ.あたしゃ堀内と言やあ『BRUTUS』のADってくらいにしか覚えてなかったから,『BRUTUS』の読者にゃとても見えないまゆぼーに「ナンデ?」って訊いたノダ.そしたら,西内ミナミ『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)って絵本の絵を描いた人だって言うノダ.それであたしゃナットク.まゆぼーが雑誌の連載で,「小さな頃,この絵本が,私に絵の楽しさを教えてくれた気がします」って紹介してたのが『ぐるんぱ』だったノダ.そっか,堀内っつぁんのおかげで,まゆぼーと時々仕事ができてんだニャ.こりゃ堀内っつぁんに足向けて寝られへんノダ……って,あの世に足向けないよーにするにゃ,どーしたらええんだっけ? タヌぼーのお目当ては,TAKEO KIKUCHIのファッション写真だったけど,こりゃもーひとつ,たのしみが増えましたわいな.

着いたらまぁ,にぎわっとったノダ.毎年少なくとも1回は行ってきて,料金払うのに3組以上の行列に並んだの初めてだったぞよ(笑).最終日ってことだけじゃなくて,地元ヴォランティアのHOMAGE GARDENとか“福山効果”によるんだろニャ.タヌぼーとしちゃ,もーちょい人少ない方が落ちついて見られるニャって感じだったけど,開館10年に植田の正ちゃん没後5年ってことで,たまにゃお祭りモードもよござんしょ.ワテも植田の正ちゃんファンのハシクレなんで,このあとリピーターが増えることを願うノダ.

タヌぼーはこの美術館に着いたら,まずは2階の映像展示室に入るノダ.この部屋に取りつけられた大型のカメラ用レンズを通して,美術館を見下ろす大山が,壁に映し出されたり,写真の歴史や植田の正ちゃんを紹介する映像が流れるノダ.でも今日は映像はお休みで,大山の様子が見られるだけだったノダ.映像はいつも同じだけど,バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」のプレリュードや,ドビュッシーの「夢」聴きながら見てると心地いいんでね,ちとザンネンでござんした.「HOMAGE」展が終わったら,いつもの映像展示が復活するのかニャ?

さていよいよ「HOMAGE」展.企画展示室は3部屋あるからって,福山・菊池・堀内で1部屋ずつ割り振っちゃうなんて,オモロないことしてないよね……なんて思いながら最初の部屋入ったら,吹き抜けの天井に奥行きのある,細長~い室内の左右2面の壁に,砂丘を写したどーんと大きな写真のパネルに,3人にちなむ写真の小さなパネルが,両面ともに1枚ずつ架かってたノダ.ほんの導入部ってとこでんな.これで1人1部屋の線は消えましたニャ.

(つづく)

ぐるんぱのようちえん
西内 ミナミ 堀内 誠一
福音館書店 (1966/12)
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2005年10月11日

『季刊d/SIGN』No. 11

『季刊d/SIGN』No. 11の表紙

出雲のぞみ教会のコンサートにゃ電車で出かけたノダけど,駅に着いてから開演まで時間があったんで,おとといは足伸ばして今井書店に寄ったノダ.そんときにたまたま見っけて買ったのが,『季刊d/SIGN(デザイン)』のNo. 11ナノダ.

責任編輯が戸田ツトムに鈴木一誌っちゅー,タヌキぼーやがエディトリアル・デザインに興味持つきっかけ作った2人なんで,創刊時から毎号買ってるノダ.No. 11にゃ,この雑誌にゃいつか必ず登場すると踏んでた杉浦康平さんの,インタヴューが31pp.どどーんと掲載.長いもんだからすぐに読み切れそーにないノダけど(汗),身体感覚に発するデザインの発想が話の中心になってるみたいナノダ.そーゆー角度から自分のデザイン語れる人なんて,きっとめったにいないぞよ.

ところでインタヴューの冒頭,

戸田 『d/SIGN』は,季刊で発行しようとしているのですが,いつも詰めこみ過ぎになってしまい,「3か月で全部読めるわけがない」とよく言われます(笑).ようやく10号を超えて「自然のデザイン」特集にたどり着きました.
杉浦 おめでとう.でもほんとうに,文字を詰めこんでいると思うよ.ぼくなんか1冊読むのにずっとかかっているくらいだから(笑).

なんてやりとりが載ってたのにゃ,ウンウンうなづいちゃったノダ.同じこと思ってたの,タヌぼーだけじゃなかったんだニャ(笑).しかし作り手も読み手も,4年間よーやってるノダ.

季刊d/SIGN―知覚の地層を探索するデザイン批評誌 (No.11)
戸田 ツトム 鈴木 一誌
太田出版 (2005/10)

2005年9月17日

《TIME'S》 第1回

建築家・芦原義信は,著書『続・街並みの美学』(1983)で,日本の都市空間のおいて水辺の景観の特徴を次のように述べている.

……「内から眺める景観」の原理が,「外から眺める景観」の原理より有利に働き,西欧の諸都市に見られるような水辺の美しいプロムナードで,景観を外から眺めて楽しむというようなことはあまりなかったのである.京都の鴨川べりを四条大橋から眺めてみると,料亭や食堂が水辺に密集して,外から眺めれば建物の汚ない裏側を眺めるような景観であり,とうてい,西欧の川岸の景観とは異なって見劣りがする.この料亭から鴨川ごしに「内から眺める景観」として鑑賞するならば,おそらくそれぞれ素晴らしい景観であることは疑いない.

私はこの言葉に符合する水辺の景観を,くしくも「水の都」と称せられる松江で見ることとなった.1995年に松江の大学に入学し,近世の城下町を自転車で行く日々を得て気づいたことのひとつが,堀に背を向けて建つ家屋や商店の多さである.今でこそ,観光遊覧船が就航してその乗り場や親水公園のような場が設けられ,市民や観光客が水際まで近づくことができるようになったカラコロ広場周辺の京橋川南岸も,10年前は川に向かって排水口を垂れる建物が並ぶ一帯であった.

もっとも「水の都」と呼ばれる以上,城下町であった往時をしのばせる水辺の景観は,そのような絶望的な眺めに独占されていたわけではない.城山を囲む堀と,石垣や緑樹との美しい対照や,湖面を赤く染める宍道湖の夕景の前では,京橋川の当時のありさまなど小事に過ぎないようにさえ思える.しかしながら,個人の所有に帰するばかりで一般の市民からは遠ざけられた水辺の景観が,これらの佳景に隣り合うように存在することは,「水の都」という名にとって決して望ましいことではないと思った(近年,宍道湖沿岸に高層マンションの建設計画が相次ぎ,景観論争の火種となっていることに触れても,同様の感を新たにする).

京都の高瀬川沿いに建つ《TIME'S》(第1期:1984,第2期:1991)という商業ビルの存在を知ったのは,このようなことをおぼろげながら考え始めていた矢先のことである.

(つづく)

続・街並みの美学
続・街並みの美学
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芦原 義信
岩波書店 (2001/05)
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2005年9月10日

『千都フォントライブラリー書体総覧[貮]ゴシック体編』

『書体総覧』のグリフ一覧

月刊誌の読者プレゼントに当選したってんでブツが届いたノダ.最近応募してなかったんで,「ふにゃ?」って思って同封の書面見たら,ナンと1月号のプレゼントだったノダ.だいぶ前やないか~い.でも当選発表なんてイチイチ見ないから,この半年間,当選したことすら知らんかったノダ(笑).ま,当選知ってたら知ってたで,「おっそいニャ~」ってず~っと気ィもんでただろーから,精神衛生上はまことによろしかったんじゃござーませんでしょか.

さてさて.当選の品ってのは,『千都フォントライブラリー書体総覧[貮]ゴシック体編』(大日本スクリーン製造,2004).千都の「ヒラギノシリーズ」のうち,ゴシック体フォントの見本帳ナノダ.仕事柄,書体見本帳ってできるだけ多く集めたいモノナノダ.

収録対象は「ヒラギノ角ゴシック体」「ヒラギノ丸ゴシック体」「ヒラギノ角ゴAD仮名」「ヒラギノ角ゴパッケージ用仮名」の4ファミリー.各ファミリーは,ウェイト(太さ)の違う3つから9つの書体で構成されてて,そのそれぞれについて1字ごとのサンプルや,組版のサンプルが載ってるノダ.同じファミリーでも,ウェイトによって文字を組んだときの印象が変わるし,一見しただけじゃどれも同じに見えちゃいそーな「ヒラギノ角ゴシック体」の仮名書体と「ヒラギノ角ゴAD仮名」「ヒラギノ角ゴパッケージ用仮名」との違いもよーくわかるノダ.違いを見つけるのが,書体見本帳を読む一番のたのしみナノダ.各ファミリーのデザインの特色を記した解説が,ちょーどいい参考になるノダ.

ナンと言っても大迫力なのは,「ヒラギノ角ゴシック Pro W3」フォントに収録された全部のグリフ(字形)20,317の一覧表.こりゃ一種の宇宙,世界地図でっせ,ダンナ(誰?).漢字,ひらがな,カタカナ,英数字,記号……日本語の表記がどれだけ多く文字の上に成り立ってるかってことを,改めて気づかされるノダ.

ヒラギノシリーズのうち6書体は,Mac OS Xに標準で入ってて,GUIにも採用されてるノダ.最初のOS Xが出て5年くらい経つハズだけど,あれ以上に美しい日本語のGUI持ったOSって,いまだに見たことないノダ.さすが林檎屋本舗,目のつけどころが違うノダって思うことしきりでござい.

2005年9月 5日

「丹下健三DNA」@『Casa BRUTUS』

そろそろ10月号発売って時期だけど,『Casa BRUTUS』9月号が,タヌぼーの修士論文のネタのひとつになった丹下健三大特輯の特別号だったんで,今さらながら触れときますノダ.

とりあえずざっと第一印象.

  • 《国立屋内総合競技場(現・国立代々木競技場)》(1964)のまわりで牛の放牧かい(笑).やってくれるニャ,GROOVISIONS.でもナンデ牛??
  • インタヴューの顔ぶれと頭数……じゃなかった,人数多っ.藤森照信,森泉,槇文彦,谷口吉生,丹下憲孝,Giovanna G. Ferragamo,酒井順子,大谷幸夫,加賀まりこ,川添登……全部で25人前後出てるぞよ.でも,一番読みたかった磯崎新が出てへんの(シクシク).5月号の追悼記事読めってかい?
  • 跡継いだ丹下ジュニアがあちこち出没.特輯タイトルの「丹下健三DNA」ってそーゆーことでもあるワケかいな.「丹下建築100選」のうち“新生・丹下事務所”作品が15ってのは,いくらナンでも多いよーな.
  • その昔,《東京都庁舎(新宿)》(1991)か鈴木都知事(当時)がらみで週刊誌の新聞広告に出てた写真が,戦前の大礼服みたいなの着て文化勲章佩用してる姿だったんで,「ナンジャこの明治政府みたいなカッコしたジイサン???」って思ってたけど,今回の掲載写真のキャプションで10数年ぶりに疑問がとけたノダ.Academie de Beaux-Arts会員の正装だったのね.帯用の剣について,ええ話が載ってるノダ.
  • “ゴジラが壊した”なんて角度で,まともに丹下建築取り上げる雑誌なんて,めったにないだろニャ(笑).
  • 六角形+「丹」+日の丸の特輯ロゴがカワエエ.

タヌぼーが修士論文で取り上げた丹下作品は,日本建築の伝統を溶け込ませた1940-50年代の建築だったノダ.'50年代の建築界で起きた伝統論争が,当事者のひとりであーる川添登のインタヴュー(pp. 182-183)中心に取り上げられてるけど,丹下と日本建築の伝統との取っ組み合いって,モダニズム建築家たちが「建築における日本的なもの」論を打ち出した1930年代からボチボチ始まって,戦時中の《忠霊神域計画》(1942),《日泰(タイ)文化会館》競技設計1等当選案(1943)から戦後の《広島ピースセンター(現・広島平和記念資料館)/広島平和記念公園》(1955),《香川県庁舎(旧館)》(1958)へつながっていくノダ.だから,戦争をはさんだ時期にさかのぼった「丹下と伝統」の総括を読みたかったし,紹介してほしかったニャ.「衛生陶器」発言とか,「丹下健三伝説」(pp. 90-91)のネタにも事欠かないしね(ケッキョクそれかい?!).

それはそれとして,'50年代までばかり見てきたタヌぼーにとっちゃ,'60年代以降の作品,特に海外の都市計画の話ってのは,知らんことだけでオモロいノダ.この人《忠霊神域計画》や《広島ピースセンター》といった最初期から都市計画やってるノダ.日本初の本格的な“建築家兼都市計画家”として世に出てるノダ.

そーいや『Casa』が日英のbilingual issueになる9月号,ここ4年は毎年買ってるノダ.'02年と'03年は,そもそもタヌぼーが現代建築にキョーミ持つキッカケを作った安藤忠雄.'04年は修士論文のネタにした作品が満載のDOCOMOMO 100選ナノダから,手もとに置きたくなりますワナ.

Casa BRUTUS (カーサ・ブルータス) 09月号 [雑誌]

マガジンハウス (2005/08/10)
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2005年9月 3日

今井書店出雲店

店舗の外観

山陰両県最大の書店グループなのに,両県庁所在地に次いで人口の多い島根県出雲市とゆートコには今まで手ェ出してこなかった今井書店.それがとーとー出雲店をこしらえて今日開店.午前中行ってきたノダ.

場所は大型農道沿い,石川陽春(本名)とはエンもユカリもない「いしかわ」ってスーパー・マーケットの高岡店のおとなりナノダ.出雲市駅前から自転車で20分かかったぞよ.一畑の武志駅からは,歩いて10分ちょいで着けるかニャ? 自動車は……各自調べてくんなまし.ワテ運転せんからよーわからへんのや(笑).自動車,けっこー混んでたノダ.店ん中も大にぎわいナノダ.

グループセンター店(松江市田和山)みたいに,カフェやレコード屋,レンタル屋が入って,「センター店を上回る山陰最大級の店舗」って触れ込みだけど,本に限って言えば,店頭の品ぞろえはセンター店の方が充実してるニャ.でも,出雲市近辺にゃこれほどおっきい本屋さんってなかったから,ある程度はセンター店や本の学校(米子市新開)の代わりになるカモ.バック・ナンバー置いてるデザイン雑誌もあったしね.

食育の企画展示やってたニャ.協賛は奈津子社長の会社でっか.奈津子さん,先生,ゴブサタしてます……スンマヘン,私信を書いてしまいました(ペコリ).

レンタルのCDは,KraftwerkとかEmerson, Lake & Palmerとか,このへんの店じゃあまり見かけないモノもあってさ.アンサンブル・プラネタに至っては,たぶん全作そろってたノダ.今日はヴィデオが100円だったんで,チェン・ミンのライヴ借りたノダ.

TULLY'S COFFEE目当てで出かける人,多いだろニャ.オシャレ~な店構えだったぞよ.人出がモチついたトコで,タヌボーもちょこっと行ってみよっと.

TVの取材が来てたけど,ウチのムスメ(日本語で「おっ母」を意味する石ちゃん語)によると,夕方のニュース(こっちはカタカナね)にタヌぼーがバッチリ映ってたらしい.いや~ん,はずかしわ~ん.カメラ避けてたつもりだったのニィ.