『歴史学通信』Vol. 31届く
大学院までお世話になった島根大学歴史部屋(大相撲かいな)の学生が編輯・発行する雑誌『歴史学通信』が今年も届きました.
ここ数年現れていた学術雑誌指向が,ついにここまでになったか,という第一印象です.修士論文の掲載や授業の受講報告に加え,今回は学会報告用のレジュメや留学先からの報告,先生方を巻き込んで「学問をするということはどの様な意味を持つのか」というテーマでの寄稿(授業料を払う以上,学生は先生方を大いに活用するべきです[笑])を載せるなどといった,実に意欲的な誌面になっています.
ワタクシが10年前『歴史学通信』の編輯にかかわったときも,当時文科系の学術分野でも普及のきざしが見えていたインターネットを巻き込みつつ,学術雑誌を指向したものでしたが,プロトタイプの域を出るには至らなかった(ただ,今日にも通用する誌面づくりのアイディアは盛り込んでいたという自負はあります).しかし昨今は,研究室で今どのようなことが行われているか,その多様な面が多くの学生・教員の声を通じて現れるようになった.かつての関係者として,悦ばしく思います.
ただ,原文縦書きの論文を横組みで掲載する場合,漢数字が読みにくくなりますから,原文通り縦組みにして巻末から頁を始めるか(縦組みと横組みが混在する雑誌ではよく見られます),横組みにするのであれば,固有名詞や史料引用以外の漢数字を半角英数字に改めた方がよいでしょう.これはグラフィック・デザイナーの立場からの助言でございます,ハイ.
それから,松江市内2店の古書店を訪ねて店主にインタヴューした短い記事.目のつけどころがいいですね.こういう店でなければなかなか出会えない本や資料も多いはずですから,学生が古書店に通うきっかけになれば何よりのことです.