融雪洪水
このところの大雪が一段落して,地元のニュースじゃ「雪崩に注意」って言ってるけど,全国のニュースじゃ,「融雪洪水」なるものにも注意を呼びかけてたノダ.
呼んで字の如く,雪が融けて洪水になるってことだよね.そーゆー現象があるなんて初めて知ったノダけど,年末の予告通りに『北越雪譜』をボチボチ読み進めるうちに,融雪洪水の記事に出会ったノダ.
大小の川に近き村里、初雪の後洪水の災に苦む事あり。洪水を此国の俚言に水揚(みづあがり)といふ。余一年(ひとゝせ)関といふ隣駅の親族油屋が家に止宿せし時、頃は十月のはじめにて雪八九尺つもりたるをりなりしが〔略〕水は低(ひくき)に随(したがひ)て潮(うしほ)のごとくおしきたり、已に席(たゝみ)を浸し庭に漲(みなぎ)る。次第に積たる雪所として雪ならざるはなく、雪光暗夜を照して水の流るありさま、おそろしさいはんかたなし。鈴木牧之『北越雪譜』初編巻之上「雪中の洪水」(岩波文庫版)
さんざん降り積もったあとは,大水になって押し寄せるってんだから,そりゃ「おそろしさいはんたな」いのもモットモな気がするノダ.
読み進めていくと,雪の季節に洪水が起きるのは,川を流れる大量の雪融け水が,まだ融けずに残ってる雪に流れを遮られて,ついには「堤のきるゝがごとく」あふれ出しちゃうからなんだって.
江戸時代に比べて治水技術が進んだ現代とは言っても,こーゆー脅威と隣り合わせに暮らしてる人たちが,そんな遠くないトコにいるノダと思うと,『北越雪譜』の世界がこの冬に重なって見えるノダ.