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2009年9月13日

熊本へ持って出かけた本

熊本から帰って、すでにひと月たってしまいましたので、いい加減、熊本ばなしを始めます(汗)。日によってはその日の話題を書いたり、昨日から始めた「よくある質問」を思いつくこともありますので(笑)、不定期連載ということで。

といっても今日はまだ出立前(ヲイ)。旅行のカバンに入れた本を2冊紹介します。

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出立準備中に、西川盛雄+アラン・ローゼン共編『対訳 小泉八雲作品抄』(恒文社、初版1998)が、最近オンデマンド版として復刊されたと知って、早速買いました。といいますのも、この本に収録されている小泉八雲の作品は熊本にゆかりあるものが多く、今回の旅にふさわしい1冊だと思ったからです。

収録作品は、次の通りです。

  • 【松江にゆかりのある作品】
    • FROM THE DIARY OF A TEACHER(英語教師の日記から)
  • 【熊本にゆかりのある作品】
    • THE DREAM OF A SUMMER DAY(夏の日の夢)
    • WITH KYUSHU STUDENTS(九州の学生とともに)
    • THE STONE BUDDHA(石仏)
    • JIUJUTSU(柔術)
    • A WISH FULFILLED(願望成就)
    • AT A RAILWAY STATION(停車場で)
    • ON A BRIDGE(橋の上)
  • 【怪談・奇談】
    • THE STORY OF MIMI-NASHI-HOICHI(耳なし芳一のはなし)
    • OSHIDORI(おしどり)
    • MUJINA(むじな)
    • YUKI-ONNA(雪おんな)

(【 】内は引用者註)

編者の「はじめに」によると、この本は「もともと、1991年9月に行なわれた『ジェーンズとハーン記念祭』(熊本洋学校教師L・ジェーンズの来熊120周年と、旧制五高教師としてのハーン来熊100周年を記念したもの)にあたり、同記念祭実行委員会により作成された『朗読のための・対訳ハーン作品抄』をもとにして」再構成されたものとのこと。熊本の作品を中心に編まれているのもうなづけます。共編者もそろって熊本大学の先生です(そのおひとりの西川先生には、今回の旅で大変お世話になりました)。

今回の熊本の旅では、本書に登場する作品の舞台をいくつも訪ねることになりました。

松江ゆかりの作品として唯一、島根県尋常中学校での教師生活に取材した「FROM THE DIARY OF A TEACHER(英語教師の日記から)」が収められていますが、これは松江の次に赴任した熊本の第五高等学校での体験をもとに書かれた「WITH KYUSHU STUDENTS(九州の学生とともに)」と対比して取り上げられている面もあると思います。その点を含めて、熊本時代に焦点を当てた作品抄と言えるでしょう。

訳文は恒文社版や岩波文庫版でおなじみの平井呈一によるもの。小泉凡さんの筆になる熊本のスケッチが挿絵として織り込まれています。本文の組版の美しさも加わって、今日全国の書店の店頭で入手可能な八雲の日本語訳(本書は英語原文との対訳であり、かつ抄録ですが)の中で、最も読みやすい部類に属する1冊だと思います。

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もう1冊は、旅行者らしく『タビリエ 阿蘇・天草・熊本』。地図が読みやすくて、あまり大判でないガイドブックを探した結果、『タビリエ』を選びました。和風の柄の表紙がかわいい『ことりっぷ』に熊本を取り上げた巻があれば、選択に迷ったところでした。

類書を比較しながら気づいたのですが、観光ガイドマップの世界では、あの地方の観光地の中心は阿蘇や天草のようで、熊本はいささか扱いが小さいのです。でも、肥後54万石の城下町ですから、こういう本でもっと大きく取り上げられてもよさそうな気がします。

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