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2006年2月17日

「殿町オトノマチ」のデザイン

チラシを3分の1に折った場合の画像

今度の土日,18-19日が「殿町オトノマチ」の2日目,3日目ということで,そのデザインの話題を少々.

石川陽春デザインワークス」に,すでに解説を載せましたから,あわせて御覧下さい.

昨日のにゅーすの中で,私はテクストからデザインを発想することが多いと書きましたが,「殿町オトノマチ」はまさにその好例です.

クライアントから当初伝えられた催しの名称は,すべてカタカナの「トノマチオトノマチ」でした.「殿町=トノマチ」に「オ」の1字を加えるだけで,「音の街=オトノマチ」に変化することを言い表した,豊かな内容を持つ名前です.どなたが考案したのかは聞いていませんが,これほど面白いネイミングには,なかなかお目にかかれるものではありません.

「だんご三兄弟」のヒットで知られる佐藤雅彦さんが手がけるETVの『ピタゴラスイッチ』という“幼児向け番組”(ということになっているらしい)から生まれた歌に,「…の中をよく見たら」(作詞:桑原永江)があります.

カバンのなかを
よくみたら カバがいる

レイゾウコのなかを
よくみたら ゾウがいる

という具合に,ひとつの単語の中に別の単語を見つけていくのが,その歌の歌詞です.これと同じ味わいを,「トノマチオトノマチ」に感じました.

最終的には,正式名称は「殿町オトノマチ」となりました.トノマチを漢字にすることで,開催地がひと目でわかるようになったとはいえ,名称が本来持っている言葉遊びの妙味は,やはりかな表記だからこそ伝わるもの.カタカナの「トノマチオトノマチ」は,ロゴあるいはコピーの扱いとしてしっかり残すこととしました.

今回のデザインに関しては,音符チョンマゲの「オトノサマ」が私の周囲で評判になっていまして,うれしい限りです.以前から私の目には,八分音符や四分音符がチョンマゲに見えて仕方なかったため(笑),いつかそれを形にしたいと思っていましたところ,まさに今回,最もふさわしい舞台を用意されたのでした.

2005年の年賀状の画像

「オトノサマ」は私が描いたもので,2005年の年賀状と同様,円を中心とする単純な図形の組み合わせで成り立っています.

先日,このチラシを御覧になった方から,「佐藤雅彦風」という感想を聞いたときは,てっきり「トノマチオトノマチ」という言葉遊びのことかと思いましたが,改めてチラシを見ますと,「オトノサマ」の表情が,佐藤さんのロングラン・ヒットとなった「バザールでござーる」に似ているような気がしてきました.口もとだけで,うっすらと笑っているあたりです.「オトノサマ」のモデルは江戸時代の武士がモデルですから,あまりニコニコさせてはいけない.しかし楽しげな雰囲気は出したい.そう考えた結果が,あの口となりました.

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