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2006年2月18日

島根広告賞の出品パネル[1]特製パネルの理由

先日も書きましたように,第30回島根広告賞の作品展示が明日19日まで,島根県立美術館ギャラリーで開催されています.

私は昨年に続いて2回目の出品.今年は「春の夜の夢:薩摩琵琶と朗読の夕べ」を取り上げました.前回同様,出品のためにこしらえた特製のパネルに,広告作品貼った状態で御覧いただいている……はずです.「はず」と言いましたのは,単に私がまだ見に行っていないというだけのことでして.

特製パネルの写真をwebで公開するのは,展示終了後のお楽しみ(?)ということにしますが,作り方は前回分のパネルと同じです.まず,コンピューター上で広告作品の一部をコラージュして「台紙」を作ります.この過程ですでに,広告作品を貼る位置を,誤差がほとんど出ないように指定しています.そして,台紙をパネルに貼り,その上に広告作品を指定の位置に貼って,ハイできあがり.

袖珍翡翠記パネルの画像

2005年松江・能を知る集いパネルの画像

画像:第29回島根広告賞の出品パネル(2005年)

島根出品賞の多くの部門では,パネルに広告作品を貼って搬入するよう,募集要項に定めてありますので,展示会場には毎年,おびただしい数のパネルが掲出されます.しかし,私が出品するパネルのように,背景に何やらプリントしてあるようなものは,ほかにありません.今年もきっとそうでしょう.ことごとく,黒や白といった無地1色の背景に,広告作品が貼ってあるはずです.

「島根広告賞」と言うからには,パネルの背景にゴチャゴチャした小細工などせず,純粋に広告作品だけを見せるようにして,審査委員による審査を仰ぐというのが,まっとうな搬入のあり方だと思います.どれだけパネルに手を入れたところで,審査には何の影響はないはずであり,審査する側にしてみれば,目障りですらあるかも知れません.

自身そのように考えているにもかかわらず,あえてパネルに手を加えるのには,いくつか理由があるのですが,ここにはふたつを記しておきます.

最大の理由は,賞の有無にかかわらず,すべての出品作について,作品展示の場が均しく用意されていることにあります.その限りにおいて,私としては審査委員ではなく作品展示の来場者にこそ,出品作をアピールしたい.

しかしながら出品作は多くの場合,すでに使命を終えた作品です.私のように広告業界に足の指が2,3本入った者にとっては,過去の広告作品であっても,見ていて充分楽しめるのですが,たまたま会場に足を踏み入れた来場者,あるいは広告主をはじめとする個々の広告の関係者や,個々の広告を見たり手に取ったりしたことがある人たちにとってはどうか? 旧作を見せられているという「退屈さ」は,どうしてもつきまとってしまうのではないでしょうか,残念ながら.

これが島根県立美術館の特別展の広告のように,ポスターやチラシ,何種類もの入場券,数々の関聨企画のパンフレット,果てはディスプレイやタペストリーという具合に,一個人ですべてのアイテムを目にすることすら困難なほど,大規模なプロジェクトであれば,それらが一堂に会しているだけで,相当見応えがある展示になることでしょう.しかしながら私の出品作は,そこまで大がかりなものは今のところありません.「春の夜の夢」は,チラシ,ポスター,入場券,スタッフ証,プログラムと,過去の出品作のうちでは突出してアイテムが多かったのですが,それでもひとりで見尽くせる程度の種類.

では,島根広告賞の作品展示に足を運ぶことで初めて得られる「附加価値」を用意してみたらどうだろうか? そうすれば,より多くの人たちに,自分たちの仕事を知ってもらったり,また広く広告文化に関心を持ってもらえるのではないか? ……といったことを考えるようになりました.その結果として思い浮かんだのが,特製パネルの構想だったのです.

もっとも,島根広告賞の出品作品が,広告業界内部だけで展観されるのでしたら,パネルに凝ることはなかったでしょうし,そもそも出品すらしなかったかも知れません.広告は,不特定多数の人に見られてナンボのものですから,業界向けにアピールしたところで,面白くも何ともないのです.

加えて,作品展示の場は,広告作品だけではなく,広告する内容を改めて知ってもらう場にもなり得るはず.広告第2弾を打ったり,事業報告を提出したりするつもりで,出品している側面もあります.

もうひとつの理由.特製パネルを作るということは,私にしてみれば新作を手がけることにもなります.つまり自分の鍛錬の場にもなるという点で,私自身にも意義があるのです.

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