石見銀山の重伝建地区,追加選定へ
石見銀山のおひざもと,大田市大森町の重要伝統的建造物群保存地区の範囲が拡張されて,明治期以降に発展したという上佐摩下地区や,街並みの背後の山々も含まれることになったそうです.
撮影:2006年(↓新聞記事の写真と同じ場所から撮影していますが,↑は自前の写真です)
- 大森の重伝建地区を追加選定へ(山陰中央新報)
京都などで名だたる庭園の借景となる山並みが,新しい高層建築の出現によって損なわれてしまった,あるいはそのような危機にある,といった話の枚挙に暇がない御時世ですから,今回の追加選定は,妥当かつ自然な流れによるものでしょう.
山並みと言っても,その役割は必ずしも借景に限定されるわけでもありませんしね.送り火で知られる京都五山が,洛中の人々の信仰の対象でもあったように,石見銀山に即して言えば,城跡や間歩(坑道),寺社などが残る山々もまた,町で暮らす人々の営みとともにあった存在です(報道によると石切場の跡も見られるそうです).より広い視野で石見銀山の景観を保全していく上でも,意義のある追加選定だろうと思います.