「親子で楽しむ能の世界:能楽ワークショップ in 一風亭」に行く
写真:会場のやすぎ懐古館一風亭は,古い商家を改装した建物.安来の商業の中心地であった安来市安来町大市場地区には,このような伝統的な商家が多く残っています.
昨日のことになりますが,先日御紹介しました「親子で楽しむ能の世界:能楽ワークショップ in 一風亭」に行ってきました.
講師は,私が広告デザインを担当している「松江・能を知る集い」と同じく,槻宅聡さん(能楽森田流笛方/安来市出身)と安田登さん(能楽下掛宝生流ワキ方).テーマもこのおふたりならではの“能の身体感覚”体験ということで,さながら安来版「能を知る集い」といったところ.ただ,私は松江ではスタッフの一員でもありましたので,純粋に参加者としてかかわったのは今回が初めてでした.
同じテーマとは言いましても,“体験”内容は新しいもの.「なぜ能楽師には,高齢でも現役の人が多いのか?」「小さな穴しか開いていない能面の下で,どのように呼吸しているのか?」といった問題を立つつ,能楽師の舞台上の姿勢や呼吸,発声,足の運びなどを教わりました.
私は自慢じゃありませんが,体を使って覚えることにかけては自信が……まるでありませんので(自滅),予想の範囲とはいえ,ずいぶん悪戦苦闘しました.時間をかけて少しずつ息を吐く.腰から上が揺れないように歩く,大きく,かつ美しい声を出す……日常生活にはない動きをするわけですから.そうは言いながらも,体にまとわりつく重いものが,少しは古くなったような気がして,気持ちよかったです.静かに座って呼吸するうちに聞こえた雨だれの音には,昔ながらの野外の演能を想像させられました.ただ,足がしびれるのには,いつもながら参りました(痛).素人弟子への道のりはけわしそうです(笑).
ワークショップに続く交流会のしめくくりに,槻宅さんのアシライで安田さんが舞い,次いで槻宅さんの一管.安来みやげをいただきました.
参加者のうちには,「松江・能を知る集い」にお越し下さった方や,先月の「松江松聲会」の囃子体験で笛を上手に吹いていらっしゃった方もおいででした.この地域での能楽関係の催しで,またお目にかかりたいものです.
「親子で楽しむ……」と銘打ちながら,オトナの参加者が多い会でしたが,中には能に強い関心を寄せる小学生もいまして,何やら昔の私を見ているような思いがしました.しかも,私と違って大いに体が動きそうですから,この小学生,ひょっとしたら将来どなたかに稽古をつけてもらう日が来るかも知れません.
安田さんの新刊↓です.