植田正治写真美術館「HOMAGE」展(つづき)
階段で直接つながってる残り2つの展示室はどっちも,植田の正ちゃんと3人それぞれとのかかわりで生まれた写真を,見ることができたノダ.下の階は,フォト・セッションの様子を写したモノも含まれてて,舞台裏とかプライヴェイトをちょこっと覗ける感じ.上の階は,福山さんの「HELLO」,菊池さんの「砂丘モード」,堀内さんの『BRUTUS』のファッション特輯といった,3人にちなむ代表的な作品が続くノダ.2面の大型パネルがある最初の展示室から順番に見ていくと,気持ちが盛り上がる構成でんな.
3階にゃ「DUNES」ってセクションがあって,砂丘で撮影された演出写真を特輯してたノダ.砂丘は戦後間もない時期と1980年代以降の2期にわたって,演出写真の舞台になったノダ.あたり一面の砂の大地,空,海だけのおっきなホリゾントに,被写体が人間だろうとモノだろうと,福山さんだろうがハンガーだろうが,等しくオブジェとして配置されてるノダ.そのいさぎよさ.単純な背景だから浮かび上がる画面の緊張感.
時代や被写体が変わっても,同じ場所で一貫した美意識のもと写真を撮れるってのは,なかなかできることじゃないノダ.それがいろんな人との出会いで多様な表情を生み出したあたり,植田の正ちゃんの大きな魅力ナノダ.
福山さん関係のモノは,8月に放送されたTVの『情熱大陸』引くまでもなく,いろ~んなとこで目にしてたけど,プリントで見たのはほとんどが初めてだったノダ.弓ヶ浜で撮影したっていう「FUKUYAMANIA」のポートレイトは,いい表情とらえてまんな.福山さんが「いつ撮られたかわからない」って回想してるアレね.
TAKEO KIKUCHIは,植田の正ちゃんの写真で欲しくなったクチで.見事ファッション写真の術中のハマったワケですわ(笑).クラシカルな装いのモデルが砂丘に繰り出すなんてのは,非日常の極致ナノダ.5本のハンガーと1足の靴が並ぶ作品は,「砂丘にUFO着陸??」かと見間違えた思い出あり.10年前……若かったニャ(しみじみ).思えばあれで植田の正ちゃんにハマったんだっけ.
堀内さんの『BRUTUS』は三宅島版「砂丘モード」.荒々しい黒い大地.『BRUTUS』の記事もパネルになって展示されてたノダ.写真の扱いといい本文のゴシック体といい,1980年代を切り開いたデザインを感じるノダ.それにしてもあたくし,『ぐるんぱ』の画家と同一人物ってことが,まだ飲み込めませんの(白状).まゆぼーに講釈を願うかニャ.
会場にゃ,この10年間に開かれた企画展のチラシも一挙展示されてたノダ.ここのチラシは,他の美術館や公共ホールで新作を見つけ次第拾ってきたノダけど,初めて見たのも案外多かったノダ.開館当初からずっと同じデザイナー(またはデザイン事務所)が作ってるんじゃないかニャ? ストイックでフォーマットが固まってるのに,企画展ごとに変化が感じられて,集めてあきないノダ.開館20周年にゃ作品集にして欲しいぞよ.
1階の常設展「写真するボク:植田正治物語」は,基本的な構成はずっと変わらないけど,行くたびに展示作品や会場のレイアウトは少しずつ変わってるから,毎回見逃せないノダ.今回は2つの時代の砂丘での演出写真を使った映像作品が,小型のトリニトロン4台で見られたノダ.
この美術館,展覧会カタログはあまり多く作られないノダけど,今回はさすがにできてたノダ.展示作品のほかに,戦後間もないころの砂丘の演出写真や「童暦」といった,「HOMAGE」前史に当たる作品も収まってて,展示とは違った見どころがあるノダ(2,400円).
2時過ぎに美術館着いて,発ったのは4時半ごろ.ちょーど福山さんのラジオ番組の時間.HOMAGE GARDENで流してたノダ.
写真:「HOMAGE」展のカタログとチラシ.たまたま持ってた「XYLISH」(笑)も,福山さんにちなんで御相伴.
BMGファンハウス (1995/02/06)
売り上げランキング: 21,023