独学でデザイナーになってみたという話[1]
高等技術校を卒業したという新人のデザイナーの方から先日,「デザインやwebの知識などはすべて独学なのでしょうか?」と質問をいただきました.ひとことでお答えすれば「はい,そうです」ということになるわけですが,その折の約束で,この場を借りてもう少し詳しく書いてみます.不定期に全4,5回程度で(引っ張るニャ〜).
私が通った中学校では,学期始めに『わたしの生活記録』という学校が定めたB5判のノートが生徒に配布され,毎日4行程度の記事を書いて担任に提出していたのですが,3年生のとき私はそれを,現在このタヌキにゅーすで多用している「石ちゃん語」で書いていました.すでにそのころから「〜ナノダ」とか言うてました(笑).タヌキにゅーすのヘッダー画像に登場する,タヌキぼーやの図も添えて.担任の先生も面白がってくれたのか,時には記事の拡大コピーをプレゼントされたこともありましたし,友達が私の記事にツッコミを書き入れてくれることもありました.おかげで,モノを書くささやかな愉しみを覚えました.
そんなころ市立図書館で,進学を目指す高校の文藝部が,1940年代末から50年代にかけて作った雑誌を見つけました.戦後,新制高校が発足したころのもので,紙質は決してよくはありませんが,印刷所が活版で組んでいましたから体裁はなかなか立派です.しかも,新制とは言っても高校生がまだエリートだった時代の雑誌ですから,後続世代の高校生が書くものに比べて,文章も格調が高い.こういう雑誌に,自分の書いたものを載せてみたい,と思うようになりました.いや,別に石ちゃん語で書いたものを載せるつもりじゃなかったんですよ(笑).
そして,晴れて志望校に合格した私は,文藝部に入部.文藝部誌の執筆と編輯に携わり始めました.今にして思えば,これがデザイナーになる道の入口だったのです.
(つづく)