老女物の能を1日で2番
昨日のことなんですが,NHKで老女物と言われる能を2番,相次いで放送してましたね.いずれも録音・録画したきりで,まだちゃんとチェックしていませんけれども.
NHK-FM『能楽鑑賞』では今井泰男「関寺小町(せきでらこまち)」(宝生流)を独吟で.約45分たっぷり,ひとりで謡うという(汗).
NHK教育では,横浜能楽堂公演の録画で,友枝昭世「伯母捨(おばすて)」(喜多流).
『能・狂言事典』(平凡社)によると,老女がシテ(主役)の老女物の能は,
能の美意識上,女を描くことと老いを表現することは重視される傾向があり,その両面を兼ねるところから高度な技量と芸位,深い精神性を要し,相応の年齢に達しないと演じられないとされる.
といった具合に重い扱いをされるものですから,そう頻繁には上演されないのですが,よりによって,老女物の中でも「三老女」と呼ばれる「関寺小町」「桧垣(ひがき)」「姨捨(伯母捨)」のうち2番が,1日のうちに電波にのってしまうとは.放送局の編成上の都合にしても,こういう日は今後なかなか訪れないことでしょう.