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2006年2月 1日

『プロフェッショナル』の佐藤可士和を見て

『プロジェクトX』の後継番組『プロフェッショナル:仕事の流儀』を,昨日初めて見ました.アート・ディレクターの佐藤可士和さんの仕事ぶりを取り上げていました

佐藤可士和さんと言えば,クリエイティヴ・ディレクターの多田琢さんと組んだ,SMAPのアルバム『Smap』(2000)に始まるCIの手法による広告で,私はビックリ仰天したクチ.赤・黄・青の3色の面に区切った長方形の上に,Futuraという欧文書体で組んだ「Smap」ロゴを乗せた,至ってシンプルなヴィジュアルで,1枚のアルバムだけでなくSMAPの存在そのものを印象づけたアレです.「Smap」ロゴは,後に続く数々のアイテムにも引き継がれて,「Smap」という一大ブランドが日本中を席巻していったかのような様相を呈しました.当時の記憶は今なお鮮烈です.

番組中,「(商品の)本質をつかむことが大切」という発言がありました.「商品」は「テーマ」と置き換えてよいと思いますが,デザインという仕事の核心を言い当てた言葉です.どんなに見た目オシャレにまとめ上げようとも,テーマの本質を的確に把握しない限り,テーマにふさわしい表現の獲得にはつながりません.具体例を挙げるのはさしさわりがありますが,私自身の失敗作と呼ぶべきものは,例外なくテーマの本質に迫りそこなっています.その代わり,技術的には稚拙さが目立つ作品であっても,本質を掘り当てていれば,おのずと評価してもらえるものです.まあ,評価とフトコロの一致は一筋縄ではいかないようですが(笑).

佐藤さんは「本質をつかむ」ことの大切さに気づくまでには,転機となった作品として紹介された「HONDA STEP WGN」の,ワゴン車に乗って家族で遊びに行くよろこびと楽しさを表現した広告にたどり着くための,それなりの時間と経験を必要としたようですが,そのころの佐藤さんの置かれた状況に近いのが,現在の私なのかも知れません.

「決断するときは,最も困難な道を選ぶ」……私もそうありたいものです.(佐藤さんの仕事は,アート・ディレクターの範疇にはとどまらず,宣伝活動全体にかかわる決断を求められるクリエイティヴ・ディレクターと見なすのがふさわしいのでしょうが)クリエイティヴ・ディレクターにかかわらず,デザイナーやアート・ディレクターを志す人たちは,一般にはAだと思われているものを,Bとして見ることのできる目と,加えてBを形にするための方法や技術,あるいは構想を,おぼろげながらも持っているのではないでしょうか.世間一般の価値観をなぞるだけで事足れりとしないからこそ,この道を選ぼうと心に決めたはずです.そうでなければ,大学院留年してまで人生の軌道修正しようなんて考えませんでした.ええ,そうです,私のことです.

デザイナーとして心にとめておきたい言葉がいくつも出てきた番組でした.何だか『たぬき家小春の懸賞生活』並みに褒めちぎったようなことを書きましたが(笑),共感してしまったんだから仕方ない.

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