日本の《国立西洋美術館》世界遺産暫定リスト入り
ル・コルビュジエが設計した東京上野の《国立西洋美術館》(1959)が,世界文化遺産の暫定リストに加えられることが決まったそうです.
撮影:2000年10月
- コルビュジエ設計の国立西洋美術館、世界遺産候補に(asahi.com)
- 「国立西洋美術館本館」(ル・コルビュジエ設計)の世界遺産暫定リスト登録が決定されました(国立西洋美術館)
「そんな建物を世界遺産にって話,あったっけ?」というのが,大半の日本国民の反応かと思うのですが,この世界遺産登録への運動の中心を担うのは,実はフランスの政府.パリにアトリエを構えた20世紀建築の巨匠が世界各地に残した作品群を,「ル・コルビュジエの建築と都市計画」として国境を越えて登録しようというわけです.《国立西洋美術館》は,ル・コルビュジエが日本で唯一手がけた作品.弟子の前川國男,坂倉準三,吉阪隆正が設計に協力しています.
登録に向けて,日本の文化庁は《国立西洋美術館》を重要文化財に指定する方針とのこと.戦後モダニズム建築が重要文化財に指定された例は,わずかに2例.村野藤吾+近藤正志《世界平和記念聖堂》(1954)と,ル・コルビュジエから多大な影響を受けた丹下健三の設計による《広島平和記念資料館》(1955)が,ともに2006年に指定を受けたばかりです.
日本では,モダニズム建築,あるいは戦後建築に対する文化財としての評価が追いつかないまま,すでに数々の名建築が失われました.《国立西洋美術館》の世界文化遺産登録と重要文化財指定への動きが,幅広い層に対して,モダニズム建築,戦後建築への関心を呼び起こすきっかけになればと思います(なんだかマスコミみたいな話のまとめ方だニャ).
というわけで最後に,日本におけるモダニズム建築の調査・研究のために精力的に活動している組織をば御紹介↓