last update: 2005/11/15
[ Genre : noh-kyogen | play ]
富山公演が終わったんで,このネタ解禁しましょかね.あ,8/26/Thuにゃ熊本のお城祭り公演ってのもあるそーなんで,そっちたのしみにしてる人,もしいたらごちゅーいナノダ.
出演者の顔ぶれでなんとな〜く想像つくだろーけど,まさに異種格闘技って感じでね.いろんな材料がきれいに溶け込んでるってワケじゃなかったけど,ナニがどう組合わさって出てくるかわかんないがユエのおもしろさがあったノダ.
舞台進行のおおまかな骨格や,演技・演出のあちこちに,しっかり狂言的なモノが出てるんだけど,平家一門の名乗りが多言語だったり,デーモン閣下の安徳天皇わずか“8ちゃい”の次第は「Smoke on the water」の替え歌だったり.ノッケからやってくれましたわいな.「負・け・た〜,負・け・たわ〜」(こんな感じ?).
異種格闘技って点じゃ,閣下の帝と,バリトンの松本さんの和尚が一緒に歌う場面とか,日本や韓国の伝統的な楽器での意外性たっぷりな音楽も,聴かせドコだったニャ.なんたって「Smoke on the water」もやっちゃうくらいだし(笑).
話の流れとしちゃ,芳一自身よりも,芳一の語りを聴きたがる平家一門に重心が置かれたってのが特徴だったノダ.芳一の体に経文書かれた次の場面じゃ,芳一の耳がもう平家側にわたってて(耳が前衛舞踏してたよ〜),耳を手かがりに,安徳帝が芳一の語りを通じて知りたがっていたナニかを探りにかかるノダ.芳一の後日談もなくて,モッパラ死者の救済が描かれるワケね.この辺は,能に近いかニャ.ボツ情報として,能「屋島(八島)」の間狂言「奈須与市語(那須語)」もしっかり出てきたのは,「待ってました!」って感じでしたニャー.
出演者それぞれの色が全面に出た舞台だったんで,ちょっとでも配役変えて再演しよーもんなら,こりゃまたゼンゼン違うモノ作れるんだろニャ.また見る機会がありゃいいだがニャ.
[ Genre : noh-kyogen ]
あるトコに向けて,能・狂言の公演情報を書いたんで,こっちにも載せときましょ.石ちゃん語訳してないマットーな(?)日本語でござんすノダ.
(紹介ここから)
7,9,10月と地方の公共ホール9箇所を巡回中の「ザ・ベスト・オブ能・狂言2004」(能楽協会,日本能楽会共催)が,出雲市にやってきます.
ここでは演目の能「安達原」と狂言「附子」を私なりに紹介します.それぞれ能・狂言の代表曲・人気曲です.
「安達原」は,奥州の安達原に住む女が,一夜の宿を貸した山伏の供をする能力(のうりき)に,人間の死骸を積んだ部屋を覗かれて鬼女の本性をあらわし,山伏の祈りにより屈するさまを描く作品です.鬼女調伏のいわば派手な場面ばかりでなく,糸繰り車を回しながら,我が身の境遇や老いの早さを嘆く女の悲哀が丹念に綴られるあたりが,能らしいところでしょう.また,能力の役はアイ(間狂言[あいきょうげん])と言って狂言の役者が担当する役なのですが,死骸の部屋を覗いて驚倒する過程を,ユーモアを交えて演じます.能と言いますと,緊張感あふれるシリアスな物語の展開というイメイジが強いと思いますが,そればかりではない能の魅力を味わえることでしょう.なお,死骸部屋の様子は,山伏と能力の言葉のやりとりで描かれますから,生々しい映像が観客の目に触れることはありませんし,R-15だのR-18だのと年齢制限も存在しません.ホラー映画が苦手の人も,小中学生も安心して見に行きましょう(笑).
「附子」は,小中学校の国語の教科書で読んだという方も多いでしょう.太郎冠者・次郎冠者と呼ばれるふたりの召使いが,主人に附子(トリカブト)という猛毒が入っていると告げられた壺の中身を,主人の留守中に暴いて,実は砂糖であると知ります.あまりのおいしさに全部たいらげてしまったふたりは,その言い訳にあれこれ手を打って主人の帰りを待ちます.謡や舞がかった演技や,演者自らが発する擬音といった,狂言らしい演技が随所で効果的に用いられているのが楽しめます.
ところで,「ザ・ベスト・オブ能・狂言2004」は,全公演とも「安達原」(観世流以外の流儀での曲名は「黒塚(くろづか)」)と「附子」の2本なのですが,公演月によって流儀と演者が異なります.同じ曲でも流儀や演者等によって台本や演出に違いがありますから,私などは他の月の公演にも足を伸ばしたいくらいです.ほんの一例に,「附子」での砂糖の食べ方ひとつとってみても,なかなか多様です.今度来雲する野村又三郎家では,扇ですくったペースト状の砂糖(本物ではなく,役者の演技でそれらしく見せるだけです)を,空いたもう片方の手のひらに乗せてから口に近づけるという,上品な食べ方をします.が,流儀や家によっては,砂糖をすくった扇をペロペロしたり(しつこいですが,本当になめるわけではありませんよ),その上に「アムアムアム」と擬音をつけたりします.一度見た曲でも,繰り返し見て新しい発見が必ずあるのが能・狂言です.
高校生以下は自由席1,000円と,料金が非常に安いですから,小中高校生のお子さんにオススメです.
[ Genre : noh-kyogen | radio ]
日曜朝のおたのしみ,NHK-FM『能楽鑑賞』は先週・今週の2回と新盆迎えてて,今年亡くなった能楽師の特輯だったノダ.こないだは狂言方の大蔵彌右衛門さんで,今日はシテ方の橋岡久馬さんナノダ.
橋本久馬さんといやー,01/09のタヌキにゅーすお正月に独吟「東国下(とうごくくだり)」の放送があったときに紹介したノダ.いつかナマの舞台観たいと思ってたら,3月に80歳で亡くなってしもーたノダ(タヌキにゅーすでも書きたかったけど,ちょーどPCを修理に出してたときだったんで,できんかったノダ).あの長〜い独吟を,半年のうちに少なくとも2度やったほどなんで(もー1度は9月の国立能楽堂20周年記念能),いずれ機会はあると思ってたから,ザンネンだったノダ.
久馬さんを子方時代から知ってるとゆー,横浜能楽堂の山崎館長(長生きしてちょ)のお話と,「東国下」の一部,多田富雄さん原作の新作能「無明の井(むみょうのい)」の一部を聴きつつ,こっそり冥福を祈った朝でござんした.
[ Genre : architecture | book ]
建築ネタがヒジョーに多いデザイン誌『Casa BRUTUS』の9月号は,1冊ほぼまるごと,特輯「世界に自慢したいニッポンのモダニズム建築100」ナノダ.
モダニズム建築の記録と保存のため活動してるDOCOMOMOって国際組織の日本支部DOCOMOMO Japanが選定したDOCOMOMO 100選を,『Casa』流のあの手この手で一挙紹介ってワケでんな.タヌぼーの修士論文で取り上げた作品もたっくさん出てるノダ.
モダニズム建築の文化的・歴史的な価値の評価って,日本の伝統的な建築やヨーロッパ渡りの様式建築に比べて,まだまだ追いついてない御時世ナノダ.だから,DOCOMOMO Japanの活動とか,『Casa BRUTUS』みたいな人気雑誌での大特輯ってのは,モダニズム建築への関心を持ってもらう上で,ホント大事なことナノダ.個人的にトコロドコロつっこみ入れたいトコもあるけど,読んで楽しいお買い得な日本のモダニズム建築入門書だと思うんで,ゼヒたくさんの人に読んで欲しいもんだニャ.
「菊竹先生と山陰・山陽モダニズム建築と温泉の旅へ。」なんて御当地ネタも見っけたぞよ.菊竹清訓(きくたけ・きよのり)翁の作品って,松江とその近辺にゃ,ホント多いんだけど,この記事じゃ菊竹翁自ら,代表作の《出雲大社庁の舎》《東光園》,広島に足をのばしてイサム・ノグチ設計の《平和大橋》を案内してまわってるノダ.
60年代までの作品にゃ,日本の伝統的な建築が持ってるダイナミズムを,コンクリートの建築に受け継いでやろうってなのが多いノダ.そんな作品を見るのに,オモロい話がいろいろと書いてあるノダ.
[ Genre : music ]
07/15のタヌキにゅーすのネタにさせてもろた,チェンバロ奏者の曽根麻矢子さんの新しいアルバム『シャコンヌ』(AVCL-25017)が出たんで,買うてきたんですわ.おまけでついてきたポスト・カードも横に置いて.さっそく聴いとんのですわ(ナゼかエセ大阪弁).
曽根さんはバッハの録音が多いんだけど,「ゴルトベルク変奏曲」全曲とか,「フランス組曲」全曲とかいった取り上げ方が主だから,今回みたいな名曲集CDでぜ〜んぶバッハってのは,初めて拝んだノダ.『ジュ・レーム』(WPCS-5901,1997)をバッハだけでやってみたって感じかニャ.
「ゴルトベルク〜」のアリアみたいなチェンバロの定番や,誰もがみんな知っている月光仮面のおじさん(おなつかしや)みたいだけど,チェンバロでは初めて聴くかも知れん「主よ、人の望みの喜びよ」「小フーガ」にまぎれて,あっとおどろく為五郎(おなつかしや・その2)なことに,「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ」が,すっかりチェンバロ曲になっちゃってたノダ.ヴァイオリンのための曲だってこと忘れるとこだったノダ.カッコイイぞよ.レコード会社移って心機一転って感じでバッハとチェンバロ入門盤と思いきや,ある程度聴いてきたモンもしっかりビックリさせてくれはります.
『ジュ・レーム』でも,作曲者不詳「3つのカタロニア民謡」で,「これ,ほんまにチェンバロですか? ねーさん(誰?)」って具合なギターっぽい音出しててひっくりかえったもんだニャ(「〜カタロニア民謡」のためだけに買ってソンはないノダ).うーぬ,おそるべし.
なんでも,2009年までバッハの鍵盤曲の連続演奏会の録音を続けるんだそーで,バッハ好き,鍵盤好きのタヌキぼーやにゃタマラン話ナノダ.ほかの人のいろ〜んなバッハ(特にオルガンだニャ)をボチボチ聴きながら,きな〜がに楽しむとしましよ.
スタッフのクレジット見たら,前のレコード会社での録音から一緒の人たちの名前がケッコウ多かったノダ.タヌぼー的見地じゃ,デザイナーが船柳めぐみさん続投なんてトコでもほっとするノダ.船柳さんのほかのお仕事って知らないんだけど,『バッハ:フランス組曲』(WPCS-10600/1,2000)『トッカータ』(WPCS-11140,2001)『ラティーナ』(WPCS-11360,2002)で,的確なお仕事やってはるんで,まずはお店でジャケットを確認しなはれ.ほな(結局エセ大阪弁で締めるタヌぼー).