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タヌキぼーやの能・狂言を見に行こう
「のぞいてみよう!世界遺産 能楽空間」を見に行く
- 日時
- 2007(平成19)年08月05日(日) 18:30開演(17:30開場)
- 会場
- 松源寺(島根県安来市安来町1446)
- 主催
- あいらぶ安来研究会
- 催しの記録
- http://sanin-noh-kyogen.info/log/20070804.html
ワークショップ(能の楽器の解説と演奏)
- 出演
- 野口亮(笛方森田流)
- 上田敦史(小鼓方大倉流)
- 守家由訓(大鼓方観世流)
- 上田慎也(太鼓方金春流)
半能「清経(きよつね)」(観世流)
- シテ(平清経の霊)
- 久保信一朗
- 笛
- 野口亮
- 小鼓
- 上田敦史
- 大鼓
- 守家由訓
- 地謡
- 上田大介
- 井戸良祐
- 解説
- 井戸良祐
額縁舞台以外の場所での上演という点で,大いに成果があったのではと思います.本堂の内陣がそのまま舞台になっていました.本尊を背に,三方を客席に囲まれ,外陣の客席とは敷居ひとつ隔てるのみ.最後列が椅子席だったほかは,すべて座布団でした.このあたりの能ではあまり体験できない,舞台と客席の近さが実感できました.開演前の夕立が幸いして,開け放った蔀(しとみ)戸から涼しい風が入ってきたのも,会場の雰囲気をよいものにしてました.
主催者および松源寺住職の挨拶につづき,囃子方が出て平笛(ひらふえ)と舞働(まいばたらき).「ワークショップ」は,関西系の話術で会場をわかせました.囃子方はそれぞれ舞台を一巡して楽器を見せていました.私は脇正面に座して,太鼓の音を最も間近に聴いたわけですが,体にじわりと響いて心地よかったです.
観客に楽器を体験してもらう時間は,四拍子の手ほどきが同時に行われたため,進行役が不在になってしまい,舞台の様子がよく見える前列からは時々笑いが起きた一方,後列のがおいてけぼりを食った状態になったのが,惜しいところでした.シテ方(おそらく3名)は装束付けで全員手がふさがっていたと思われるころで,時間や出演者の人数でやむを得ない面もあるのですが,このあたりの段取りは,工夫のしどころになるでしょう.
そのあと,当日になって作ったという10分程度のメドレーを披露して休憩.あたりが薄暗くなった中,舞台の照明は内陣の4本の柱寄り添って立てられた蝋燭2本と電灯2本.蝋燭,電灯とも和紙で包んで間接照明としていたため,人工的なまぶしさを感じることはありませんでした.
半能「清経」.半能というのは,能の前半部分を省略して,後半部分のみを演じる上演形式のことです.初めて能を見る人には,なじみのない言葉かと思います.受付で配布されたパンフレットに用語の説明がありませんでしたから,せめて上演前の解説で補って欲しいところでした.
能そのものは,シテと地謡が丁寧に舞台を支えているという印象を持ちました.観客が息を飲むのを感じられ,ワキ方が出ない代わりに,観客がワキのつとめを果たせたような気がします.若手中心の顔ぶれながら,再び見たいと思いました.ただ,客席で携帯電話が鳴ったのは残念でした(着信音を止めるために鞄から取り出したのが,かえって災いしたと思います).
冒頭の住職の挨拶中に,松源寺の開山が修行した寺に,世阿弥が同時期に参禅していたという縁があることが,催しの準備過程でわかったとの話がありましたが,加えてこの日は世阿弥忌(8月8日)が近いこともあって,附祝言に替えて追加として「融(とおる)」の一節「月の都に入り給ふよそほひ。あら名残惜しの面影や。あら名残惜しの面影
」が謡われて終演となりました.
そのあと,シテの久保さんが装束のまま挨拶.主催者から焼酎を送られて「私は九州出身なので」と喜んでいました.昨年,松江で能を舞ったとの話は知りませんでした.詳細御存知の方,お知らせいただけないでしょうか.当サイトの「催しの記録」で紹介します.
すでに8時を過ぎ,日は暮れて砂庭の篝火があかあかと輝き,石段の両脇に灯る蝋燭の列に見送られつつ,松源寺をあとにしました.着物姿のお客がいつにも増して目立った会で,浴衣姿の若い女性が5,6人,私と同じ方角に帰路をとっていました.
コメント
石川さん、今晩は。以前高嶋さんのご紹介で昨年のリーフレット部門で大賞をとったイベントに関わっていた内藤です。今回の能楽空間にようこそお出でくださいました。そして、とても分かりやすく、臨場感がある感想有難うございました。主催者としては一言お声をかけてくださればよかったのにと思います。また、あなたの能に関する知識の深さに驚いています。今回シテ方を演じた久保氏は月に一回ホテル一畑で謡いの稽古指導に神戸から来ています。終わってから一泊するので機会がありましたら是非ご紹介でもできるといいですね。とりあえず、お礼まで。
投稿:内藤和美 | 2007年08月20日 23:38
内藤様
御無沙汰しております.コメントありがとうございます.
会場でお姿拝見したのですが,御多忙の様子でしたので,声をおかけする機会を逃してしまいました.おつかれさまでした.
久保さんはお稽古でいらっしゃっているのですね.ホテル一畑にどなたかがおいでだという話を,複数のルートで聞いていたのですが,ようやく結びつきました.いずれ御縁があればと思います.その折はよろしくお願いします.
投稿:石川陽春(宍道湖・中海圏の能・狂言を見に行く会) | 2007年08月21日 23:42